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4/05 藤 「あなたに夢中」

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4/05 藤 「あなたに夢中」
Wisteria Memory 高征×紫乃(結那視点)



「先生、横暴だよ~」
「うん、重い……」

 結那と紫乃が両手に抱えているのは、教師が資料室から借りてきたたくさんの本だ。分厚いものと薄いものがあるけれど、数が多ければ重いのも道理。

「プリント提出に行っただけなのに……」

 来たついでに、これらを資料室に返してきてくれと教師に頼まれてしまって、二人ともが断れず、今はよたよたと廊下を歩いている状態だ。
 資料室まではまだ遠い。休み時間の間に行って帰って来られるかと不安になりかけた時、隣を歩く紫乃が、不意に「え?」と呟いた。

「紫乃?」
「たかくん……」

 紫乃の視線は、名を呼んだ結那ではなく、突然現れた高征を見上げていた。その高征は、紫乃が持っていた資料の半分を、既に両手に抱えている。

「しぃ、よたよた歩いてんだもん。危なっかしいって」
「ありがと」

 互いに微笑みあって見つめ合う二人に、結那はそっとため息をついた後、わざと拗ねた声を出した。

「私もいるんだけどなー、高征くん?」
「あ」
「あ、ってちょっと、紫乃! 私の事忘れてたわね!?」
「何だよしぃ、俺に見とれてた?」
「そ、そんなんじゃな……っ」

 あははははっ、と、高征の笑い声が廊下に広がる。紫乃はそんな彼を、若干頬を染めて、微笑みながら見上げて。
 高征といると、紫乃の視線はすぐに彼に向かってしまう。隣に、結那がいても。

(ま、仕方ないか……)

 まだ彼女の気持ちをはっきり聞いたわけではないけれど、きっと紫乃は高征の事が好きなのだろうと思う。
 そして多分、高征も紫乃の事を────。

「ん?」

 不意に、腕に抱えた資料の重さが減った。

「ったく、高征は紫乃ちゃんしか見えてないんだから」
「理人くん」

 苦笑しながら結那の荷物を持ってくれたのは、高征の親友である理人。

「これ、どこに持ってくの?」
「あ、資料室」
「ん、じゃあ行こう。そこの二人は放っといて」
「そうね」

 未だじゃれあっている高征と紫乃を置いて、結那は理人と肩を並べて歩きだす。

「……あの二人、いつになったら付き合うんだろ」
「あ、やっぱり理人くんも気づいてたんだ?」
「そりゃね。まず高征の態度が全然違うし。紫乃ちゃんしか見てないし」
「ねー。紫乃もそうよ、高征くんしか見てないもの」
「「……とっとと告ればいいのに」」

 二人、同じ言葉を同時に告げて、思わず顔を見合わせて笑ってしまう。

「あっ、待て理人っ! 行こ、しぃ」

 慌てて背後から追い掛けて来る高征と紫乃から逃げるように、二人は足を速めた。

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