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4/01 オーニソガラム 「純粋」

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拍手SSの再掲です。

4/01 オーニソガラム 「純粋」
夜明けの光 三兄妹+レサリーア




 太陽の光さえ浴びていないティルに休憩させようと、フレイルが無理矢理兄を連れ出した先のテーブルには、白い花が5輪、花瓶に活けられて置いてあった。
 それを見たティルは、その華奢な花びらにそっと指先を触れさせ、ゆっくりと微笑んだ。

「可愛い花だな」
「レサリーアが育てたんです。オーニソガラムというのですって。花言葉は……何だったかしら」

 手作りであろうフルーツケーキを切る手を止めたアーシャが小首を傾げる。

「純粋、ですよアーシャ様」

 紅茶のポットとカップを乗せたトレイを運んできたレサリーアが笑う。

「どうぞ、ティル様。少しはちみつを落としましょうか?」

 疲れが取れますよ、と言われ、ティルは苦笑して「頼む」と告げた。そして目の前で風に揺れる、白い花を見つめる。
 細長い、6枚の白い花びらはまるで星のようにも見えて、太陽の光を浴びて輝いているようだ。

「……純粋、か……」
「兄上?」
「……誰もが幸せに暮らせる国を。それが俺達の、純粋な願いだった。だが、自らが王となって、それはとても難しいことだと再認識してしまった」

 幸せなんて、個々によって違うのは解っているけれど。上がって来る沢山の苦情や悲しみの報告を読む度に思う。ティルはただ、非道な父の政で、いつしか消えた民の笑顔を取り戻したかっただけなのに。

「俺は、良い王をやれているのだろうか……」

 ぽつり、呟いた声は静寂を呼んだ。しかしその静寂は、アーシャがナイフを置いた音で壊れてしまう。

「……フレイル兄様」
「ああ、そうだな。レサリーア、セパを呼んできてくれ」
「かしこまりました」

 一礼して部屋を下がるレサリーアの後ろ姿を見たティルは、弟妹が何の会話をし始めたのか解らなかった。

「お前達?」
「だ、か、ら、少しはお休み下さいと言ったでしょうお兄様!」
「俺達にばかり休ませて、ご自分は殆ど睡眠を取らないからそんな思考になるんです兄上!」

 呆れた表情の妹と、怒りをちらつかせた弟が、ティルの瞳を射抜く。
「「ですので、今日から一週間ほど、急病人となって頂きます!」」
「な!? 何を言い出すんだ、政務は」
「俺達で分担します。一週間、火急の用以外、一時間でも仕事をしたら、その倍の期間を休んで頂きますから」
「ちょ、待て、何だその横暴さは……っ」
「「兄上(お兄様)が悪いんです!」」

 結局、弟妹だけではなく、レサリーアに連れてこられたセパにまで説得され、ティルは一週間の強制休暇となったのだった。

夜明けの光 目次

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