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拍手SS 夜明けの光 「来訪者」

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2015年 1月 携帯用SS
夜明けの光 フレイル×レサリーア+α



「レサリーア! 逃げて下さい!」

 突然開かれた扉からそう呼びかけられて、レサリーアは反射的に振り返った。

「えっ」
「アーシャ?」
「ああ、間に合わないわ、とりあえず隣の部屋に隠れ……っ」
「お、見つけた」

 ひょこっとアーシャの横から出てきた見知らぬ顔が、アーシャの動きを封じるかのように彼女の体を両腕に抱き込んだ。

「あの……?」
「ラル……っ!」

 彼の腕の中で体をよじるアーシャは、今まで見たことのない表情をしている。呆れたように息を吐いて席を立ったフレイルが、彼へと歩み寄った。

「ラル……お前なぁ」

 アーシャの頭の上にある、ラルという青年の額を、フレイルは容赦なく叩いた。

「いてっ」
「アーシャで遊ぶな、馬鹿」
「はいはい」

 するり、と解けた腕から抜け出したアーシャは、顔を真っ赤にしてレサリーアの背後に隠れた。

「あの子がお前の婚約者?」
「ああ。って、おい」

 あっという間に目前まで迫られて、両手を取られたと思ったら、にこりとラルが笑う。

「初めまして、俺はラル・イーヴルと申します」

 イーヴル。聞き覚えのある名前に、レサリーアが首を傾げていると、背後に隠れていたはずのアーシャが前に出てラルの手をバチンと叩く。

「レサリーアはフレイル兄様の婚約者です! 気安く触るものではありませんっ」
「ったく、お前ら兄妹は……。手ぇ出るの早すぎ」

 叩かれた手の甲をわざとらしく擦るラルの表情は途端に苦笑いに変わる。

「悪いのはラルの方です!」
「俺は挨拶してただけなんだけどな?」

 ラルの瞳はアーシャをからかって楽しんでいる中にも慈しみが込められていて、アーシャは恐らく、怒りではない感情を頬に上らせて彼を見ている。

「仲が宜しいんですね? イーヴル、というと……確か東南の商業国では?」

 仲良くなんて……と、口の中でもごもごと呟くアーシャを横目で見ながら、ラルはこくりと頷く。

「さすがフレイルの婚約者、博識ですね」
「いえ、そんな……申し遅れました、私はレサリーアと申します。どうぞお見知りおきを」
「こちらこそ」
「ラルは第三王子で気楽なせいか、良く俺達と遊んでたんだ」
「……それだけですか?」

 くすくす、と言外の意味を込めて訊ねたレサリーアに、フレイルは「まぁな」と笑い、アーシャに聞こえぬようにレサリーアの耳元で囁いた。

「現時点で、アーシャの第一候補の婚約者だ」

 だからこその反応なのか、些細な口喧嘩を始める二人を見て、レサリーアは微笑ましい気持ちになった。


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