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拍手SS LOVE SO LIFE 「兄の帰宅」

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拍手SSの再掲です。

2014年 8月 携帯用SS
LOVE SO LIFE 政二


 服の内ポケットから携帯電話を取りだした途端、画面が光ってメールの着信を告げた。

(中村さん……? 珍しいな)

 彼女が、政二の仕事中に連絡を入れてくることなど滅多にない。あるとしたらそれは、双子に何かが起こった時ぐらいだと思う。
 茜か葵に何か問題が起きたのかと、届いたメールを開いて、……一瞬思考が停止した。

【お仕事中にすみません。先程、二人と一緒に帰って来たら、お家の前に松永さんのお兄さんがいらっしゃったので、勝手ながら家の中でお待ち頂くよう勧めました。お仕事が終わり次第、出来るだけ早くお戻り下さい】

 立ち竦んだまま、何度もメールを読み返して、ようやくその内容を理解する。

(兄貴が、帰って来た────……?)

 あれから2年。茜と葵をずっと預けたまま消えた張本人。言いたい事も、訊きたいことも、たくさんあるけれど、その前に。

(中村さんだけじゃ……)

 兄にとってはかつて住んでいた家ではあるけれど、詩春にとっても兄にとっても、互いが初対面だ。茜と葵が間に入るなら会話も成り立つだろうが、子供達とて恐らく戸惑ってしまって二の足を踏むだろう。

(健でもいてくれれば、まだマシか……? 出来れば、どっちか宮川家に連れてってもらえれば……)

 健には迷惑をかけることになるけれど、と、思いついたまま彼の携帯に電話をする。

「なにっ、せーちゃん!」
「うわっ! 何だ健、何慌ててんだ?」

 耳元で怒鳴られて、政二は思わず耳から携帯電話を引き離す。

「レポートの提出が今日中なんだよーっ! 用事なら手短に頼むっ」
「……いや、いいわ。レポート頑張れ」

 駄目だ、こりゃ。と諦めて、政二は通話の切れた画面を見つめた。

(及川……には頼みたくないし)

 そうでなくとも、彼に詩春を近づけさせたくはない。

(宮川さんも忙しいだろうし……)

 誰か、耕一を……そうでなくとも詩春と子供達を連れ出してくれる人はいないかと考えたけれど、誰も思い浮かべることは出来なくて。

(つーか、せめて夜に来いよバカ兄貴……っ!)

 そうすれば、茜と葵も寝静まり、詩春を巻き込むこともなかったのに。と、八つ当たり気味に考えていると、「松永さん、移動して下さい!」と、次の収録が迫っていることを知らされる。

(……ごめん、中村さん!)

 戸惑ったり、気まずい思いをさせてしまっているであろう少女に、心の中で謝りながら、政二は書類を持たぬ方の手を強く握りしめた。

(返答次第ではぶん殴る……!)

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