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3/31 ムルチコーレ 「誠実」

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拍手SSの再掲です。

3/31 ムルチコーレ 誠実
LOVE SO LIFE 政二×詩春


「松永さん?」
「え? あ……ごめん」

 今日、自分が読み上げた、とあるニュースを思い出していた。それは大人の身勝手で子供を犠牲にしているようにしか思えなくて。それを表情に出すわけにはいかないから、いつも通りにしていたけれど。
 大人になればなるほど嘘や偽りは増え、誠実さは失われていく。いつしか自分の中でも「仕方ない」が増えていることに気付いたその時、政二は少なからずショックを受けた。嘘や偽りで身を固め、自分を守るのが大人だとは解っていても。

「どうぞ」

 僅かな時間の後、ことん、とテーブルの上に置かれたのはマグカップ。ふわり、と甘い匂いが鼻をくすぐる。

「……ココア?」
「お疲れのようなので……。甘いのにしてみました。お嫌でしたら、別の」
「ううん……ありがとう」

 ココアなんていつぶりだろう。政二自身が好んで飲むのは専らコーヒーや日本茶だ。
 カップを傾け、まだ熱いココアを一口啜る。チョコレート程ではないけれど、ほわん、と甘い味が口の中に広がった。

「……うん、おいしい」
「良かった。インスタントで申し訳ないんですけど」
「え、ココアもインスタントとかあるの?」
「はい。ちゃんとしたココアパウダーで作った方が、より美味しいんです」
「そうなんだ」

 彼女の手にも、新しくなった専用のマグカップがあって、詩春はまだ熱いココアを冷ますようにそっと息を吹きかけている。

『中村さんといる時は、完全に素でいられるんで』

 遊園地の観覧車の中、告げた本音。詩春といる時だけは、大人としての体裁を保とうとはするものの、それ以外は嘘や偽りなど告げずに誠実な自分でいられる。穏やかに流れる時間が、とても優しい。

「ココアと言えば、今日の保育園でのおやつが、ココアのビスケットだったんですけど」
「うん?」
「ポケットの中でビスケットを叩くと増えていくって言う歌があるの、知ってますか?」

 そういえばそんな歌が、茜と葵が揃って見ていた5分程のコーナーであったような……? とおぼろげな記憶を引っ張り出すと。

「それを実際にやっちゃったんです、茜ちゃん」
「……叩いたら割れるから増えるってだけじゃなかった?」
「それもそうなんですけど、実際のところはそんなポケットがあったらいいなって言う願いなので……割れてちっちゃくなっちゃったビスケットを見て、茜ちゃん、しょんぼりしてました」
「はははっ」

 一日の最後に、こうして笑える時間がある事に、政二はそっと感謝した。

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