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3/30 イースターカクタス 「復活の喜び」

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拍手SSの再掲です。

3/30 イースターカクタス 復活の喜び
Angel's Ladder クライド×フィルカ


「こっちよ、クライド」
「待ってくださいフィルカ、まだ翼に慣れないんですから俺は」

 翼に慣れないというよりも、地に足が着かないことに慣れない、というのが正確なところだろう。

「もう、仕方ないわね」

 音もなく、傍らに近づいてきたフィルカがクライドの手にそっと触れる。クライドが彼女の手の温かさを認識するや否や、

「うわっ!?」

 クライドが未だ体験したことのない程のスピードで、フィルカは天高くに飛び上がる。

「フィルカ!?」

 名を呼んでも、彼女はいたずら顔で笑うだけ。風の抵抗をまともに受けて、瞳を開けていることも難しくなって来た頃。

「はい、行ってらっしゃい」
「え。な……っ、わああああ!!」

 急停止したフィルカに、繋いでいたはずの手を呆気なく離されて。まだ高速からの止まり方が解らぬクライドの体は、そのままずぼっと分厚い雲の中に突っ込んだ。
 フィルカは「あら」と呑気に呟いて、クライド救出に向かい、分厚い雲を抜けた上から、彼の姿を探した。

「クライド? 大丈夫?」
「……これのどこが大丈夫に見えるんですか、フィルカ」

 憮然としたクライドの声に、視線を移したフィルカは、次の瞬間に笑い出した。

「ふふっ、あはははっ。何度もこれやってるけど、そのまま突き刺さってたのは初めてかも。ふふふっ」
「笑い事じゃないですよ……」

 今のクライドは、首から上だけがかろうじて雲から出ている状態だった。あまりにもスピードを出し過ぎたせいもあるだろうが、直立不動状態で身動きが出来ないケースは初めてだった。

「ごめんね、ちょっとスピード出し過ぎたわね」
「あれで『ちょっと』ですか」
「そうよ?」

 答えながら、フィルカは指先をくるくる回す。と、クライドを拘束していた雲は一部分だけぽっかりと穴が出来、新米天使は慌てて翼を広げた。

「俺で遊ばないで下さい」

 フィルカと同じ『天使』という存在に生まれ変わったクライドは、一人称を変えた。少しでもフィルカに、『男』として見てもらえるように。

「列記とした訓練の一貫よ、一応」
「一応って言ってる時点で遊んでるじゃないですかっ」

 未だ笑いの収まらぬフィルカが差し出してきた手を、クライドは思い切り引き寄せて華奢な体を抱きしめる。

「フィルカって結構悪戯好きなんですね」
「そう?」
「ま、俺もですけど」

 そう耳元で囁いてから、クライドはフィルカに甘く口づけた。

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