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3/29 ヤマブキ 「謙遜」

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拍手SSの再掲です。

3/29 ヤマブキ 謙遜
桜涙 幼なじみ3人組+一海


「朱里ちゃん、すごーいっ」
「うわ……お前って器用だったんだ」
「そんな事……。教え方が良かったのよ、きっと」
「いや、それでもすごいって」

 テーブルの上に置かれた、5枚ほどの栞。その栞は色々な押し花で彩られていて、ラミネート加工がされている。それは朱里が、竜城の母に教わって作ったものだった。
 ビオラ、クローバー、名も知らぬ小さな花々が、まるでそこで咲いてるかのように見える。

「練習すれば、誰にでも出来ると思うけど……」
「朱里、それは間違い」
「え?」

 謙遜する朱里に、一海が少しだけ窘めるような口調で告げた。

「練習しても、出来ない人ってのはいるんだよ。まぁ、興味がなくてやらなかったり、続かなかったりするのが大半だが」

 苦笑混じりのその声と共に、大きな手が朱里の髪を撫でる。

「でも、人によっては練習不足だと言われてるように感じる人もいる。結局は相手の受け取り方次第だけど……謙遜は時に、傲慢と取られることもあるから気をつけろよ?」
「……はい」
「藍里も、池上も、自分が出来ることまで否定するなよ? ひけらかす事はないけど、な」

 対等であろうとしても、必ずどこかで優劣は生まれる。ましてや子供は、目に見えるものでしか判断出来ないことが多いから。
 教師らしく……というよりも、人間との付き合い方にまだまだ未熟な朱里が、必要以上に傷つかないようにと、一海は告げた。
 真剣な顔で頷いた竜城や藍里は、それなりに友達との出会いや別れを経験しただろうが、朱里はそうではない。彼女はこれから学ぶのだ。生きていく為の処世術を。

「……ありがとう、一海兄さん」
「難しいけど、頑張れ」

 髪を撫でていた手で、ぽん、と軽く頭を叩くと、朱里は花の咲くような笑顔を見せた。

「ね、朱里ちゃん。これ、一個もらってもいい?」
「え? うん、もちろん」
「わぁい」

 どれにしようかな、と物色し始める藍里の横で、竜城が声をあげる。

「あ、ずるいぞ藍里、俺も欲しい!」
「竜城ちゃんが読むのなんてマンガばっかりじゃない、栞なんて要るの?」
「母さんと同じ事言うなっ。お前の本棚だって恋愛小説ばっかだろ」
「違うもん、ちゃんと参考書もあるもんっ」
「買っただけで開きもしてない参考書な」

 ぽんぽんと飛び出す言葉のスピードに、なかなか朱里がついて行けずにいると。

「じゃ、俺はこれ貰おうかな」

 一海の指先が一枚の栞を抜き取り、藍里と竜城が「ずるい」と騒ぎ始めて。
 結局は朱里がどれを誰にあげるかを決める羽目になったのだった。

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