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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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3/24 錨草 「あなたを捕らえる」

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拍手SSの再掲です。

3/24 錨草 あなたを捕らえる
お祝いはチョコケーキ 伊吹→里沙



「そーいやさ、伊吹気付いてる?」
「何が?」

 今日の練習試合も快勝で、若干軽い足取りの伊吹に、瀬能が問いかける。

「今日も来てたろ、里沙ちゃん」

 突然辞めてしまった元マネージャーの名前を出されて、伊吹は怪訝な顔をして訊ね返した。

「……いたのか? 里沙」
「いたよ。っつーか、マネージャー辞めてからもほぼ毎回の試合見に来てるぞ?」

 な? と、他のチームメイトに同意を求めるように瀬能が声を出すと、

「うん、今日も来てた」
「今日は一番前の席に座ってたよなー」
「目が合った時、頑張れってガッツポーズしてくれたし」
「応援席で見てるくらいなら、ベンチで見てればって言っても聞かないんだよなぁ」

 次から次へと出てくる、里沙の目撃情報。誰も彼もが里沙の存在に気付いていた中で、伊吹だけは全然気付かなかったなんて。

(マジかよ……)

 マネージャーと部員という接点が無くなっても、里沙とは今まで通り友達として接していた。何度も試合を見に来いと誘ったけれど、その度に断られていたのに……。

「結局見に来るなら、頷いたって良いだろ……バカ」
「何か言ったか?」
「……別に」

 自分だけが知らなかった。その事実が癪に障って、思わずふて腐れた声で返事をしてしまう。

(それで良く、あいつを好きだなんて言えるよな、俺……)

 屈託無く笑う里沙の笑顔が好きだ。自惚れでなければ、里沙も伊吹に対して少なからず想いがある、と思う。手を伸ばして頭を撫でた時、名前を呼んだ時。どことなく嬉しそうな笑顔を咲かせる里沙が、伊吹の見間違いでなければ。
 友達の距離が心地よくて、今までは何も告げずにいたけれど。

「次も見に来てくれるかな、里沙ちゃん」
「賭けるか? 里沙が来るか来ないか」
「ほぼ百パーセントの確率じゃ、賭けにならないってキャプテン」

 だよな、と笑う部員達の声が耳に届く中、伊吹はそっと心の中で一つの決意を固めた。
 賭をしよう。自分自身と。

(次の試合に里沙が来てたら……絶対に見つけ出す)

 見つけられたなら、その時は……。
 絶対に捕らえて、逃がさない。目撃情報がこれだけあるのだ、白を切るにも限界があるだろう。
 そして、捕まえられたなら……その時は、この気持ちを伝えてみよう。

「覚悟しろよ、里沙」
「……別の賭けするか」
「それもいいな」

 不敵に笑った自分を、ニヤニヤしながら不穏な言葉を告げた瀬能達が見ていることに、全く気付かぬ伊吹だった。

お祝いはチョコケーキ 目次

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