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3/23 プリムラポリアンサ 「青春の喜び悲しみ」

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拍手SSの再掲です。

3/23 プリムラポリアンサ 青春の喜び悲しみ
明るき陽の光を 明人×透子


(んーと、この単語は……)

 二つの英単語を強調するかのように、透子はシャープペンシルで下線を引く。単語の意味を間違えないように、辞書を手元に引き寄せてページをめくろうとしたその手は、不意に止まった。
 たん、たん、と聞き覚えのある足音が階段を上ってきたからだ。

(今日、家庭教師の日だったっけ?)

 非番の時だけ、と、不定期で勉強を見てもらっているから、明人が空いた時間に来るのは珍しいことではない。
 けれど、不意打ちで来られると……心臓が早鐘を打って仕方がない。会えるのは嬉しいのだけれど、平静でいるのが難しいのだ。

「透子、入るぞ?」

 一つだけの軽いノックの後、低くて穏やかな声が聞こえて、透子は声が震えないようにと努力しながら「どうぞ」と告げた。

「お、やってんな」
「一応受験生だもん。今日はどうしたの?」
「ん? ほれ」

 片手でフリップを開いて、見せられた携帯電話の画面。発信元は……。

『今日は早く帰れそうだから、透子と三人でご飯行こう! もちろん明人くんのおごりね!』
「……だとさ」
「泪ちゃんてば……」
「俺のおごりに異論はないが、先に言われると癪に感じるのは何でだろうな」

 苦笑するその表情は、妹に甘い兄そのもの────にも見えるけれど、瞳は彼女に対する慈しみに溢れている。そんな明人を見る度に、透子の胸はかすかに軋む。
 泪花のことは大好きだけれど、年齢も、身長も近い二人と一緒にいると、透子はどう背伸びしても子供にしか見えないのが、悲しい。

「ってわけで、透子もこないだの模試の結果良かったし、ご褒美に何か食べたいものあれば連れてくぞ」
「でも、その文面だと、泪ちゃんが食べたいものがあるんじゃない?」
「俺に奢らせる時点で、あいつに選択権はナシ。あ、でもフレンチフルコースとかは無理だからな?」
「そんなの食べたことないもん」

 大人の女の人と一緒だったら、そういうところにも行くのだろう。もしかしたら、泪花と一緒に行ったことがあるのかも知れない。と、止めどなく考えていると、「うん、俺も」という言葉が返ってきた。

「え?」
「フレンチよりも和食系のが好きだしなー。……どうした?」
「ううん、何でもない」

 とりあえず、現時点でそういった対象の女性はいないのだろう。我知らずホッと息をついて、二人で食べたいものをリストアップして。
 1時間後に透子の部屋へとやって来た泪花に、「勉強の邪魔してどうするのよ」と呆れた声で叱られたのだった。

雨の弓・明るき陽の光を 目次

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