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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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SS 「夜更かしは誰の為?」

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#創作版深夜の真剣文字書き60分一本勝負
お題 「おやすみ」です。

幼馴染み、恋愛未満。1300字程度なので短いです。


「……しお?」
 お邪魔します、と言っても答えがなくて。いつもなら「お帰り」と告げてくれる、少年の幼馴染みである少女の姿が見えなくて、リビングに向かうと。
「……寝てるし」
 ソファに深く体を預け、静かに呼吸をする汐の姿を見つけて、我知らずホッとする。
 近づいて、彼女のあどけない、子供のような寝顔に。白く柔らかな頬にそっと指先で触れてみる。
 彼女が起きている時には触れられないのに、眠っている時には触れられるなんて、自分でも天の邪鬼だなと思うけれど。
 瞳を開けた彼女は、少年には――――かいには、無邪気すぎて。純粋すぎて、触れることさえ躊躇ってしまう。
 櫂が汐に向けているこの感情を、汐はきっと、受け止められないから。
「……お前、どんどん綺麗になってくな」
 写真まで取られやがって、と、櫂は一人ごちる。
 今日、学校で友達に見せられた、一枚の写真。そこには、汐が写っていた。
 さらさらのストレートの髪が風に靡いて。悪戯なその風を宥めるようにそっと髪を手で抑えながら微笑む汐。可愛い子がいたんで、思わず撮っちゃった、と告げたその写真部の友達から、ネガごと奪いとったのは少し前のこと。
 高校生になってから、汐は髪を下ろして登校するようになった。中学校までは、髪の長い女生徒は三つ編みが規則だったから、誰も知らない髪を下ろした姿を知っているのは、櫂だけだったのに。
「お前がこんなに無防備なのは、俺のせいかもな?」
 いつも、いつだって傍にいたから。汐にとって、櫂は「男」ではないから。「男の子」という認識はしていてもきっと、汐には「幼馴染み」という認識の方が強いだろう。その認識を壊してみたい衝動に駆られる時も、あるけれど……。
 このままキスでもしてやろうか。そんな出来もしないことを考えてしまって、櫂は苦笑した。
「汐。起きろ」
 つんつん、と頬をつついてみれば、ゆっくりと開いていく汐の瞳。
「……かい、くん……?」
「今寝たら、夜眠れなくなるぞー」
「ん~……。だいじょうぶ……」
 にへ、と柔らかな微笑みが、櫂の瞳に映る。けれどその微笑みはすぐに消えて、せっかく開いた瞳も、また閉じてしまう。
「……こいつ、まぁた夜更かししたな……?」
 汐はいつもそうだ。何かに夢中になると、夜であることも忘れてしまう。そしてそのまま朝を迎えて、学校に行き。帰ってくると安心するのか、そのまま寝落ちることが多いのだ。
「……説教はあとで、だな」
 とりあえず、ソファでは体を痛めてしまうからと、櫂はその体を抱き上げて、二階にある彼女の部屋へと運んで、ベッドの上に横にした。
 その間も起きることのなかった汐に苦笑して、いつの間にか食べてしまっている一筋の髪を、指先でそっと避ける。
「……程々で起きろよ?」
 優しい声で、そう告げた櫂が、汐の傍から離れようとした時。
「え……」
 不意に目に止まった、ベッドサイドの編みかけの毛糸の山。インディゴブルーのそれは、汐ではなく、自分の好きな色。
(まさか……だよな?)
 起きたら問い詰めようと心に決めて、もう一度汐の頬を優しく撫でて。
「……おやすみ、汐」
 愛しさが溢れる声で、優しく言葉を紡いだ。

 → 【違和感の原因】

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