Mirage

オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

3/11 君子蘭 「情け深い」

拍手SS Index
月別一覧(3月)へ 作品別一覧(3月)

拍手SSの再掲です。

3/11 君子蘭 「情け深い」
桜涙 竜城×朱里


「情け深い」という言葉は、朱里にぴったりだと思う。彼女はいつでも他人を思いやる。わがままなんて、殆ど聞いたことがない。
 そしてその想いは、言葉は、時折、首を擡げる罪悪感から、竜城や藍里を守ってくれるけれど。
 いつだって自分の事は後回しなのだ。朱里という少女は。

「今は自分の事を心配しろ、バカ」
「……ご、ごめんなさい」

 保健室の白いベッドの上、横になる朱里の額を小突きたくなったが、一応頭を打ったのでそれは出来ない。

(ったく、こいつは……)

 事の起こりは昼休み。階段で職員室へと向かっていた朱里に、廊下でふざけて遊んでいた男子が投げた小さなゴムボールを直前で回避した女子生徒がぶつかった。突然の事に為す術もなく、朱里とその女子生徒は重なり合うように階段の踊り場に倒れ込んでいたらしい。
 女子生徒の方は意識もはっきりしていて、小さな打ち身と擦り傷だけで済んだけれど、朱里は軽い脳震盪だろうという診断が下されたものの、昼休み中には目を覚まさなかった。朱里の容態を気にしたまま竜城は五限の授業を受け、終了後に保健室にやってきた彼が傍に寄った時、その瞳は開いたのだった。
 そして開口一番に告げたのが「竜城、授業は?」で、竜城を呆れさせたのだ。

「ったく……。頭、痛いとかないか?」
「さっき、一度起きた時、保健の先生に診てもらったから大丈夫。頭にたんこぶ出来てるぐらいで」
「そっか、良かった」
「ごめんね、わざわざ来てもらって」

 ああ、もう、本当に。どうして朱里は、他人の事ばかり気遣うのだろう。

「言葉違うだろ。俺は勝手にお前が心配で来ただけ、誰に強制されたわけじゃない」
「……あり、がと……?」
「何で疑問形なんだよ」

 苦笑し、思わず手を伸ばす。一瞬だけ、躊躇いが生まれたけれど、触れたいと思う気持ちの方が勝った。
 朱里の髪に手のひらをそっと触れさせ、撫でようとして。

「……たんこぶ、どこ?」
「右側の、おでこのちょっと上……」
「じゃ、いいか」

 竜城が触れたのは、左側だ。肩口までしかない黒髪を、指先でゆっくり梳かす。

「びっくり、したんだからな」
「……一応、不可抗力なのだけど」
「うん、解ってる」

 けれど、こうして目覚めぬ朱里の姿を見せられてしまうと、あの時の事を思い出して不安になってしまうから。
 それを伝えては、また朱里に気を遣わせることになるから言わないけれど。
 出来ればそんな姿はあまり見たくないと思う竜城だった。

桜涙 目次

拍手SS Index
月別一覧(3月)へ 作品別一覧(3月)
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

琳架

Author:琳架

web拍手 by FC2

 ↑ 9/1変更 (全6種)
 桜涙・雨弓・明陽
 図書戦・LOVE SO LIFE・ヨナ
  ※携帯版が確認出来ないので、こちらに統合しました。

Twitter・SS専用アカウント→ @sakuraironoyoru

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

最新記事

検索フォーム

月別アーカイブ

西暦をクリックして下さい。

カウンター

FC2ブログランキング

ランキングに参加しています。

FC2Blog Ranking

右サイドメニュー

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。