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3/09 クロッカス<黄> 「青春の喜び」

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拍手SSの再掲です。

3/09 クロッカス<黄> 「青春の喜び」
夜明けの光 ティル+アーシャ



「お、お兄様……っ! もう少しゆっくり……!」

 思ったよりも高い馬の背と、想像したよりも速いスピードに怖くなって、アーシャは後ろで手綱を操る長兄に訴えたけれど。

「せっかくの遠乗りが、それではつまらないだろう?」
「でも、フレイル兄様達の馬が、とうに見えないではありませんか!」

 同じ時間に出発したのは確かだけれど、ティルは走り始めるなりぐんぐんと速度を上げて、あっという間にフレイルとレサリーアが乗っている馬を置き去りにしてしまった。

「こんな事なら、フレイル兄様の馬に乗せて頂くべきでしたわ」
「恋人達の穏やかな時間を邪魔するのは無粋だぞ、妹よ」
「……そういう問題ではないと思うのですけれど」

 はぁ、と思わず溜息をつくと、いつの間にか馬の足が遅くなっていることに気付く。どうやら小高い丘になっているここが目的地のようだ。

「ゾルゲット達まで置き去りにして……お弁当も敷布もないですよ?」
「……それは盲点だったな」
「……もう、お兄様ったら。ふふふ」
「ははっ」

 口元に手を当てて、思わずくすくすと笑ってしまう。つられるようにティルも笑い出し、しまいには声を上げて笑い始めた。

(目的はとりあえず達成、ですね)

 今回の遠乗りは、公務以外でほぼ外に出ることのないティルを気分転換に連れ出すことが目的だった。新王となってからの彼の仕事量は半端ではない。そんな中でも、ティルはフレイルとアーシャには時折休みを取らせていたが、本人は休暇などそっちのけだったのだ。
 それを心配したセパが、ティルに突然の休みを告げた。皆で遠乗りでも行ってきたらどうかと進められ、それにフレイルとアーシャが大賛成した結果が今だ。
 父が私利私欲に囚われたりしなければ、今はまだ自由な身でいられたはずの長兄。このままでは本当に、青春の喜びさえ知らぬまま、孤独な王となってしまう。
 もちろん、そうさせるつもりはないけれど。それでも、普通の青年のように、ティルがティルとしていられる時間が、少しでも作れればと願う。

「兄上! アーシャ!」

 ある意味では青春まっただ中にあり、それを謳歌している次兄が、愛しい少女と一緒に現れた。

「遅いぞ、フレイル!」
「兄上が早すぎるんです! 大丈夫だったか、アーシャ?」
「……とっても怖かったです、フレイル兄様……」

 そんなに怖かったか? と訊ねてくるティルに、アーシャは。

「……お兄様が楽しかったのなら、それで良いです」

 と、苦笑して告げたのだった。

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