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3/07 ムスカリ 「失望」

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拍手SSの再掲です。

3/07 ムスカリ 失望
LOVE SO LIFE 竹川夫妻+政二



 期待をしなければ、失望することはない。逆に言えば、失望する程の希望を、兄に対して持っていたと言うことではあるけれど。
 政二が兄を待ち続けることは、もう……。
 双子を引き取って育てたいと、竹川夫妻が切り出したのはいつだっただろう。
 それは、詩春に双子を預け、政二が病院を訪ねた日だった────。

「政二くん」
「お加減はいかがですか?」

 お見舞いに、と買ってきた花かごをそのまま手渡すと、ありがとう、と穏やかな笑顔で告げられた後、先の問いにも答えてくれた。

「ええ、ずいぶん良くなったわ」
「まだ長時間歩くのは駄目だけどね」
「順調に回復されてるようで、良かったです」

 心から、そう思う。美咲という愛娘は失ってしまったけれど、それでも、一人だけでも事故から回復出来ているのなら……。
 そう安堵していると、夫妻が互いに目を合わせて、小さく頷いた。そして、まっすぐに政二を見つめる。

「あのね、政二くん」
「はい」

 竹川に名を呼ばれ、思わず背を正す。何故なら、その声音が真剣だったからだ。

「……妻が全快したら、の話なんだが……茜と葵を、私達で引き取りたいと思っているんだ」
「……え?」

 一瞬、何を言われたのか解らなかった。否、解ってはいたのだけれど……。

「……申し訳ありません、兄が────」
「いや、耕一くんに失望したとか、そう言うんじゃないんだ。彼が帰って来てくれるなら、茜と葵の為にもそれが一番良いと思う。だが……」

 もう、兄が姿を消してから1年近くが経つ。いつまでも宙ぶらりんのまま、双子を育て続けることは……双子の為にはならないかも知れない。

「君も、まだ若い。茜や葵がいることで、君の未来まで諦めさせるわけにはいかないよ」
「いえ、そんな事は……!」

 ない、とは言い切れなかった。実際、異動願まで出したのは事実だし、詩春がいなければ本当に、アナウンサーとしてはやって来られなかっただろうと思う。

「それにね、私達が一緒に暮らしたいっていうのも、あるのよ」

 お父さんたら、話す順番が違うわよ。と希美子が竹川を茶化すように窘める。

 ……そう、そうだ。茜と葵は、政二にとってもたった二人の甥と姪だが、竹川夫妻にとっても、たった二人の孫なのだ。美咲がいない以上、血の繋がった孫はもう、二人だけ。だから。

「……ありがとう、ございます。その時は……よろしく、お願いします」

 政二はゆっくりと、二人に向かって頭を下げたのだった。

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