Mirage

オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

Entries

3/04 デージー 「美人」

拍手SS Index
月別一覧(3月)へ 作品別一覧(3月)

拍手SSの再掲です。

3/04 デージー 「美人」
図書館戦争 手塚×柴崎


 子供の頃から、綺麗な子だと言われてきた。大人になったら絶対に美人になると。
 けれど、持って生まれたそれが当たり前だったから、常に謙遜は嫌味と取られ、特に女子には疎まれる存在になってしまった中学の頃。
 誰も信用しない、誰にも心を許さない。そうしてずっと、生きてきたけれど。
 顔だけでも、体だけでもない、「柴崎麻子」を見てくれる、受け入れてくれる存在が、今、彼女の隣にいる。

「おい、見ろよすげー美人!」
「声かけてみる?」
「いやいや、隣にいんの彼氏だろ?」
「だよなぁ……。あんな美人がフリーなわけないよな」

 すれ違った青年達の、明らかに自分達を見ながら聞こえてきた言葉に、柴崎は思わず苦笑した。

「……だ、そうだけど?」
「俺に振るか、そこで!」

 隣を歩く男の顔を覗き込み、からかうように告げると、彼はぶっきらぼうに柴崎から視線を外した。その反応が楽しくて、あははと笑う。
 その笑いを止めたのは、不意に握られた左手だった。指を絡めるように繋がれて、ぎゅっと力が加えられる。

「……虫よけ?」

 そんな言い訳がなければ、手も繋げなかった頃を思い出して訊ねてみる。

「それもある」

 それも、というならば、別の理由もあるということか。そしてその理由は、言葉にしなくても伝わってくる。そんな関係になれたから。

「……ホント、半端ないな」
「何が?」
「お前の顔の影響力」

 苦笑混じりに告げられた言葉は、けれどどこか力強い。辟易しているのではない、それも柴崎の一部だと認識してくれている声音だったから。

「あんたもだけどね」
「? 何がだ?」

 相変わらず、自分に向けられる視線には疎いらしい。入隊した頃こそ仏頂面だった手塚だけれど、郁と関わることでどんどん丸くなり、そして……柴崎といる時は、優しい雰囲気を纏うようになった。
 それが人気に拍車をかけ、隊内でもミーハー的なものだとは言え、彼に視線を送る女性は多い。
 今だって、すれ違う女性達が振り返り、歩いていた人は足を止めて手塚のことをちらちら見ながらこそこそと話している。

「麻子?」
「何でもなーい」

 歌うように言葉を紡ぎながら、空いている片手をぱっと手塚の腕に添える。本当は腕を組んで見せたいけれど、未だに手は力強く握られたままだから。

「? 何だいきなり」
「ふふっ、別にー?」

 この人は自分の大切な人。そして大切にしてくれる人。小さな意思表示は、手塚に知られることなく続いた。

その他版権 目次

拍手SS Index
月別一覧(3月)へ 作品別一覧(3月)
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

琳架

Author:琳架

web拍手 by FC2

 ↑ 9/1変更 (全6種)
 桜涙・雨弓・明陽
 図書戦・LOVE SO LIFE・ヨナ
  ※携帯版が確認出来ないので、こちらに統合しました。

Twitter・SS専用アカウント→ @sakuraironoyoru

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

最新記事

検索フォーム

月別アーカイブ

西暦をクリックして下さい。

カウンター

FC2ブログランキング

ランキングに参加しています。

FC2Blog Ranking

右サイドメニュー

QRコード

QR