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3/03 桃 「気立てのよい娘」

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3/03 桃 「気立てのよい娘」
LOVE SO LIFE 政二×詩春


「綺麗に塞ぐもんだなぁ……」
「そうですか? ありがとうございます」

 良く晴れた、日曜日の昼下がり。双子がお昼寝をしている間、リビングには詩春と政二だけだった。
 午前中の仕事を終えて帰ってきた政二にお茶を出し、詩春はソーイングセットで茜と葵の小さな靴下に出来た穴を繕っていた。他にも、どこかに引っかけて解れてしまった部分を縫い込んだり、緩んでしまったワイシャツの袖口のボタンをつけ直したりしている。

「……って、俺のまでごめんっ」

 ぼーっと詩春が針を動かす光景を見ていたけれど、ワイシャツは明らかに自分のだ。

「いいえ~、大丈夫です」

 もしかしたら、今までもこうして繕ってくれていたのかも知れない。政二が知らなかっただけで、詩春がしてくれている事は多分とても多いのだろう。
 食事も、洗濯も、掃除も。食費はこちらが出しているとは言っても、作ってもらえるだけでありがたいと思うし、洗濯もクリーニング代が浮いている(さすがにスーツ類はクリーニングに出すけれど)。掃除は子供達も楽しんで手伝っているようだし、本当に彼女には世話になりっぱなしだ。

『詩春ちゃんは気立てのいい子ね』

 そう言ったのは、竹川の奥さんだった。初めて詩春を連れて静岡に行った後の電話で、嬉しそうな声でそう告げられた。

『あんな子が、二人の傍にいてくれて良かった』

 そして、その彼女を見出した政二も丁重にお礼を言われてしまって、恐縮したものだ。
 確かに彼女は、素直で、誰にでも優しく出来る子だと思う。ひねくれたり、意地悪をしたり、そういったところは見たことがない。
 詩春が入れてくれたお茶を飲み干し、頬杖をついて斜向かいに座る詩春を見つめる。
 穏やかで、平和な日常。そんな象徴のような彼女。詩春は繕い物に夢中で、政二の視線には気付いていない。そして政二自身、自分がどんな瞳で詩春を見ているかも気付いていないのだ。
 しゃくん、と糸切りばさみの音がして、ふ、と詩春の顔が上がる。
 言葉もないまま、交わった視線。
 瞬間の時が止まるかのような感覚に、しばし身を任せて────。

「松永、さん?」

 少しだけ首を傾げて、呼ばれる名前。手を伸ばして……。

「いつも、ありがとう」

 茜や葵にするように、ぽん、と頭を叩くと。

「……っ!」

 じわじわと赤くなっていく、詩春の顔を見て、政二は少しだけ嬉しくなって。
 そっと一度だけ髪を撫でて、その手を離した。


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  • 2016.01/24 19:56分
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