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拍手SS 桜涙 「あっち向いてホイ」

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拍手SSの再掲です。

2014年 6月 携帯用SS
桜涙 幼馴染み三人組


「竜城ちゃん、あっち向いてホイ!」
「っ!?」

 突然藍里に突き付けられた人差し指に驚きながらも、竜城は反射的に反応した。

「あーもうっ、不意打ちしたのに!」
「お前なぁ……」

 藍里の人差し指は上を向き、竜城の顔が動いたのは右だった。

「竜城ちゃんに勝ったことないんだよぅ~」
「だってお前……いや、いいや」
「む。何~!?」
「言ったらつまらないし」
「竜城ちゃん~!」

 むう、と唸る藍里の表情が面白いのか、竜城は喉の奥で笑う。

「そういやさ、覚えてるか? 俺より朱里の方が強かったの」
「覚えてる~! もう、ほんっとーに朱里ちゃん強かった!」

 幼い頃、まだ三人で無邪気に遊んでいた頃。交代で何度も朱里に勝負を挑んだが、朱里はことごとく勝ちを手にしていたのだ。

「今やっても、朱里ちゃんに負けちゃうかな? 私たち」
「どうだろな? 朱里が来たらやってみろよ」

 一海に呼ばれた朱里を、竜城と藍里は自分達の教室で待っていた。先に帰ってていいよ? と言われたけれど、竜城も藍里も「待ってる!」と即答したのだ。

「……いつになったら朱里ちゃん、三人でいることに慣れてくれるかなぁ?」

 朱里は未だに、竜城や藍里と距離をおこうとする。元々遠ざけていたのは竜城達の方だから、文句をいう筋合いはないのだけれど、それでも、まだ距離があることが、淋しい。

「一緒にいればいいよ、あいつが嫌がるくらいずーっとさ」

 竜城の言葉に、藍里が力強く頷いた瞬間、扉がガラリと開いた。

「ごめんなさい、待たせた?」
「あ、朱里ちゃんっ! あっち向いてホイ!」
「え!?」

 竜城同様、突然立てられた指と言葉に、朱里はすぐに反応した。そして、

「う~っ、朱里ちゃんにも負けた~!」

 藍里の指先は左を向き、朱里の顔は下を向いていた。

「突然、どうしたの?」
「藍里が突然思い出したんだよ。こいつ、昔から弱かったろ?」
「……そういえばそうね」
「俺も朱里に勝ったことないんだよなぁ……」

 竜城の呟きに、朱里はきょとんと首を傾げた。

「……二人とも、気づいてないの?」
「へ?」
「何が?」

 今度は、竜城と藍里がきょとんとする番だった。

「二人ともね、自分が指差す方に目が動くのよ?」
「えーっ?」
「待て、俺もか!?」

 こくん、と朱里は事もなげに頷く。

「待って竜城ちゃん! 俺もって何!? それでずーっと勝ってたのー!?」
「あ、やべ……」

 藍里が気づかなければ、連戦連勝だったのに。と、うなだれた竜城に、朱里はくすくすと笑った。

「……大丈夫よ? 竜城」
「へ?」
「だって藍里、全然気づいてなかったもの。竜城の目が動いてても」
「あ、そっか」

 朱里の言葉を信じるなら、藍里に対しては今まで通りでも何ら変わりないということだ。おそらく彼女は、竜城の瞳の動きを追うなんて事も出来ないだろうから。

「う。二人とも酷い~!」

 ぷくりと膨れた藍里の頬を、竜城が遠慮なくつつく。そんな幼なじみの姿に、朱里は顔を綻ばせた。

「さ、朱里の用事も終わったし、帰るか!」
「うん! 朱里ちゃん、行こー!」
「え、藍里……っ!」

 躊躇いなく腕を引かれて、戸惑うまま朱里は走り出す。

「あ! こら待て藍里! 先に行くな!」

 背中に置いてきぼりにされた竜城の声を聞きながら。


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