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2/29 サンシュユ 「敬慕」

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拍手SSの再掲です。

2/29 サンシュユ 「敬慕」
桜涙 竜城→朱里+一海


(敬慕。尊敬し、慕うこと、ね……)

 現国の時間、電子辞書を片手に、教科書に乗っている熟語を調べていた竜城は、そんな言葉で手を止めた。
 自身が尊敬する人を思い浮かべてみる。家族は言わずもがな、他の誰かと考えた時、真っ先に浮かんだのは朱里だった。
 朱里は強い。けれどそれは、自分を省みることのない強さだ。誰かの為でなければ、朱里は強くいられない。

(放っておくと、すぐに自分の事は後回しだもんなぁ……)

 目は覚めたものの、未だに入院中である朱里の事を考える。朱里が学校に登校出来るようになっても、竜城と朱里はクラスが違うから、傍にいることは出来ない。

(友達……なんか、いるわけないしな)

 浮かんだ考えをすぐに打ち消し、罪悪感に浸りそうになる自分を叱咤する。
 次に思い浮かんだのは、一海だった。
 彼は大人だ。父や母とも違う、身近な大人。

『朱里を化け物と呼ぶお前の方が、俺にはよっぽど化け物だよ』

 朱里が泣いているのを初めて見た翌日、一海に呼び出されて告げられた言葉は、今も竜城の胸の中に在る。
 あんな風に、朱里の気持ちが解るようになりたいと思う。一海のように……そう思うのは、自らの思いとは裏腹に、彼を尊敬しているからなのだろう。

(悔しいけど、な)

 そんな事を考えている間に授業が終わり、放課後になった。

「竜城ちゃん、朱里ちゃんのトコ行こ!」
「悪い、今日委員会。先に行ってて」

 すぐにでも朱里に会いたいけれど、委員会をサボったなどと朱里にばれたら、気に病むのは彼女の方だ。終わったらすぐに行こうと決めて、委員会が行われる教室へと向かった。

(あ~、遅くなった)

 病室までの廊下を、走りたいのを我慢してなるべく早く歩く。そして病室へと辿り着き、ノックをしてドアを開き────視界に入ったのは、朱里がケーキの切れ端を刺したフォークを一海の口に向かって差し出しているところだった。

「いらっしゃい、竜城。きゃ?」
(な……!?)

 一海は竜城の姿を認めた途端、にやりと口角を上げ。フォークを持つ朱里の腕ごと引き寄せて、ケーキを食べた。

「そんなにお腹空いてたの?」
「いや? フォークから落ちそうだったから」
(……絶対嘘だ……!)

 朱里は能力に鍵をかけているのか、一海の嘘は見破れない。けれど竜城には解った。絶対竜城への当てつけだ。
 授業中に彼を敬慕の対象として思い浮かべた事を、今更後悔する竜城だった。

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