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2/21 ディモルフォセカ 「すこやかな人」

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2/21 ディモルフォセカ すこやかな人
図書館戦争 堂上×郁



「あー、今年もこの季節が来た……」
「ああ、健康診断のお知らせか」

 掲示板に貼られた一枚の紙を見て、郁がほんの少しだけ顔をしかめる。その隣で堂上は、その表情に疑問を覚えた。

「どうした?」
「……採血、苦手なんです……」

 ぽつり、と呟くように告げた一瞬後、背後でぶはっ、と聞き慣れた笑い声が響き始めた。

「何で笑ってるんですか、小牧教官っ!」
「だ、だって笠原さん……くくっ、返り血浴びてたのに……っ」
「……『ブラッディ笠原』、でしたっけ」
「あはははは、手塚やめて!」

 体をくの字に折ってまで笑い転げる小牧と、当時を思い出して微妙な顔をする手塚。堂上はといえば、

「~~~酷いです、堂上教官まで笑うなんて!」

 手で口元を覆い隠し、必死に笑いを堪えているようだけれど、目が泳いでいるのが解る。不快をあらわにした郁に、堂上が待てをするように両手をあげた。

「わ、解った悪かった。で、何で採血苦手なんだ?」
「……針が腕に刺さる瞬間がダメで……」
「目を閉じてたら?」
「それはそれで、いつ刺さるか解らなくて怖いんですよ~!」

 だから結局、針の先端を凝視してしまうのだ。そして、血が流れていく事に安堵するのだが、今度は針を抜く時が怖い。

「……難儀なやつ」

 手塚の溜息が聞こえたけれど、事実なので何も言えない。

「見るからに健康なんだから、健康診断なんてやらなくてもいいのに……」

 そういうわけにもいかないだろうと、郁以外の三人は心の中で呟く。隠れた病気を見つける為の健康診断なのだから。

「そうだ。笠原さんが採血する時に、堂上が付き添ってればいいんじゃない?」
「何でだっ!」
「傍で手を握っててあげるとかすれば、怖くないかもよ?」
「な……っ、小牧教官っ!」

 思わず頬を染めた郁と堂上は、あははと笑いながら事務室を出ていく小牧と、何故かちょっとだけしかめ面をした手塚を見送り、二人きりになってしまった。

「……も、もう、小牧教官てば何を言い出すんでしょうね!」

 照れ隠しに渇いた笑いを唇に乗せながら、言葉を紡いだ郁の頭に、覚えてしまった手の温もりが触れた。

「……傍についててやる事は出来ないが」

 髪を梳くように、優しく頭を撫でられて。

「終わったらちゃんと、誉めてやるから」

 その時に見られるであろう、彼の優しい表情と声を想像して、郁の怖さは少しだけ和らいだ。

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