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2/20 チューリップ<黄> 「望みのない恋」

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拍手SSの再掲です。

2/20 チューリップ<黄> 望みのない恋
暁のヨナ ハク→ヨナ



「痛……っ!」

 矢を番え、弦を引き。途端に右肘に走った鋭い痛みに、ヨナは思わず顔をしかめた。力の加減を間違えたのだろうかと、もう一度弓を構える。けれど、また鋭い痛みがヨナを襲う。

「無茶するからですよ」
「ハク……」

 いつからそこにいたのだろう。問い掛ける前に、無意識に動かした腕がまた、痛む。
 ヨナの右手から、放たれることのなかった矢が地に落ちて、左手にある弓は、ハクに取られた。

「いつから、……いたの」
「誰かさんが天幕を抜け出してからですね」
「……最初からじゃない」

 少しだけ拗ねて、ヨナは地に落ちた矢を拾い、ハクから弓を返してもらおうと手を伸ばす。その手はあっという間にハクの手に捕らえられ、引き寄せられた。

「ハク?」
「体がまだ弱いんです。過度な稽古は余計体を痛めますよ」

 ただでさえ、運動らしい運動はして来なかったヨナだ。武器を扱う者としての体を作ったことなどはない。

「……そんな顔、するな」

 噛み締めた唇を解くように、ハクの指先が顎に触れ、同時に顔を上げさせられる。

「だって、……悔しい」

 早く強くなりたいのに、体がついて行かないなんて。弱いままじゃ、ハクを守ることなんて出来ない。

「……始めたばかりは、みんなそうですよ。焦らずにやればいい」

 そうは言われても、気持ちばかりが逸る。いつハクが危険な目に遭うか……ヨナを守らんとするばかりに、戦いの渦中に身を投げ出すか、解らないのだから。

「……ハク」
「はい?」
「私が強くなるまで、絶対に無茶しないで……!」

 瞳に強い願いを宿して、ハクを見上げると、彼はヨナの体をグッと抱き寄せ、力のままに抱きしめた。

「ハ、ハク……? 苦しいわ……」

 背中を圧迫されているから、息がうまく出来ない。囁くように訴えると、ハクの腕が、温もりが離れていく。

「……戻りましょう。ユンなら薬を持ってるでしょうし」
「……うん」

 何故ヨナを抱きしめたのか、その理由を問えぬまま、繋がれた手を少しだけ強く握り返して、ヨナも歩き始めた。

 ヨナの手を引きながら、ハクは己の心を戒める。
 最初から解っていた。彼女の隣に並び立つのは自分ではないと。それなのに。
 自分でも持て余しそうなほど厄介な感情は、決して消えてくれない。

 望みなき恋ならば、そんな表情かおをするな────。

 幾度、そう願えば……叶わぬ想いが消えてくれるだろうか。

暁のヨナ 目次

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