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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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頂き物 桜涙+明陽 「夏のお花見は三人で」

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 今年も相互リンクさせて頂いてる「空想 i 」の朱音さまが、5周年のお祝いにとSSを書いて下さいました!
 今回は「明るき陽の光を」と、「桜涙」より、幼馴染み三人組同士のコラボです!
 一人称で書かれるが故の、緻密な心情表現にご注目下さい♪

 ラストにSS追加したら長くなりました。


 薄い青が空を染め上げて、差し色の黄は鋭くて痛いほど。蝉達の大合唱が鼓膜に響く。
 既に生を終えたこの身体だから暑さ寒さは関係無いとは言え、ここまで夏を彷彿させられると自然と汗が滲んでしまうわね。
「なぁ、透子。真夏の地上に何の用があるんだよ?」
「真夏だからこそ、見られる綺麗な物があるのよ。ね、泪ちゃん」
「そうよ。明人くんは仕事が忙しいんだから、時間が空いた時には気分転換しなくちゃ。とは言え、私も一体何が見られるのかは知らないんだけどね」
 マスターの仕事が一段落したのを機に、かつて過ごした世界に舞い降りて来た。
 ふわりふわりと空中飛行を続けながら、もうすぐ見られるはずの美しさを思い出して口元が緩む。

 去年の今頃、魂の回収を命ぜられた際に向日葵が一面に咲き誇る野原を見つけたの。
 数えきれないくらい、目に映しきれないくらいの黄と緑の彩り。一つ一つが小さな太陽のように咲き誇って、夏の到来を祝福している様子に感動を表す声も出なかったっけ。
 その雄大な美しさを大好きな幼馴染にも感じてもらいたいと思って以来、秋の落ち葉が軽やかに歌って、冬の雪が冷たくも温かい白で響いて、春の桜が優しく囁いて。そして今年の夏が来るのを待ち望んでいたの。

 もうすぐ、後ほんの少しで感動に再会出来る……と信じて疑わなかったのに。
「あれ……?」
 立派な茎を持ってして、凛とそびえているのは確かに向日葵そのもので。だけど、全身が緑に包まれていて、一つとして黄が見えない。
 世界を見たくないとでも言いたげに、固く目を瞑ったままの姿が立ち並んでいた。
「咲いてないな。まだ早かったか?」
「そうみたい。ごめんね、明人くんは仕事で忙しいのに。下見してから来れば良かった……」
「大丈夫よ。明人くんは透子とデート出来ただけで満足でしょうし、ね?」
「あぁ。泪花が同行を遠慮してくれればもっと良かったけどな」
「ふぅん。そんなことを言うの?」
「わわっ、二人とも喧嘩しないでよ!?」
 険悪になりかけた明人くんと泪ちゃんをなだめるふりをしながら、いつものじゃれ合いが心地良くてとっても幸せな気分になる。
 後は向日葵さえ想像の通りに咲き誇ってくれていたら、もっと幸せだったのに……。
 マスターの仕事はいつ落ち着くか分からないから、今度来られた時には既に夏が通り過ぎているかも知れないもの。
 はぁ……、思わず溜め息を漏らして少しばかり俯いた時だった。

 高校生くらいの男女が並んでいて、二人より数歩下がって歩いている女の子の姿が目に入った。
 上から見下ろしているからはっきりとは見えなくても、女の子二人は顔の感じや体型、歩き方がそっくりだから双子じゃないかしら。
 彼女らが足を進める先には野原しかない。と言うことは、あの子達も夏のお花見を楽しみに来たのかな?
 生を終えて死神になった私達と違って、全身に暑さを浴びながらせっかくここまで来たのに、残念な想いをするのは可哀想。
 そう思ったのと同時に、一人離れている女の子の目線が上に向いて――――え? まさか、こちらを見ている……?
「あの子、私達の姿が見えているんじゃない?」
「泪ちゃんもそう思った? 視線を外さないから見えていると思う。だけど、驚きもしないのよね」
 羽が生えていない存在、しかも人間の姿をしている者が宙に浮いていたら普通は驚くと思うの。なのに彼女は静かに目を大きくさせて、首をわずかに傾げただけで、別段変わった態度を見せない。
 瞳に浮かんでいるのは無関心や無気力ではなくて、……何だろう。知らないようで、知っているような複雑な彩色が漂っている。
「朱里ちゃーん、どうしたの?」
「朱里! そんな所で突っ立ってどうしたんだ?」
「ううん、何でも無いわ」
 前方を歩く二人に呼ばれ、はっと我に返ったようにまた歩き始める彼女。走りもせず、早足で歩く訳でも無くゆっくりと。
「どこかで聞いた名前だし、一度は見た顔だな。朱里、あかり……。……えーと、仁科朱里、だったかな」
「どうして明人くんが彼女のことを知っているの?」
「一度、あの子に関する資料を見たことがある気がするんだよ。だけど、誰に魂の回収を向かわせようかと考えている内に、資料はどこかへ消えたけどな」
 それはすなわち、一度死の直前まで訪れたものの、一命を取り留めて現世に舞い戻ったと判断して間違いないはず。
「だから、私達の姿が見えるのね……」
 彼女の生を強く掴んで放さなかったのは、きっと前を歩く二人なんでしょう。
 さっき名前を呼んだ声、見つめる瞳は大切な人に向けるものだったから。でもどうしてか、愛されているはずの彼女は一定の距離を保って、必要以上に近寄ろうとはしない。
 朱里と呼ばれた少女の目も二人のことを優しく見守っていて、だけど何かを言いたげな気もして。心のどこかで、言葉では上手く言い表せない切ない感情を宿していそうなのよね。

 きゅっ、と細くなる胸の奥の方に手をかざして、切なさが過去を呼び戻す。
 明人くんと泪ちゃんが付き合っていると確信したあの頃、もう二人には近付けないと悟ったっけ。大好きだし、これからも仲の良い幼馴染でいたいとは思ったけれど、嫉妬や惨めさが先行してしまって。
 一歩身を引いて、愛し合う二人を見守れる存在であろうと誓った。
 あの子のことは何も知らないけれど、瞳に居座っている複雑色は、あの時の私と似た色である可能性は高いと思うの。
 私情や一方的な考えだって分かっているわ。だけど、朱里と呼ばれた子の笑顔を望むから。
「ねぇ、泪ちゃん。お願いがあるんだけどね?」
「えぇ、もちろんよ。……じゃあいくわね。我が名に刻まれし花よ――」


~・~・~


 容赦無く皮膚を貫いていく日光が痛くて、じわりと現れる汗。何をどうしたって、真夏を意識してしまう。
「朱里ちゃんは、向日葵畑を見たことがある? すごく綺麗なんだよ! ね、一緒に見に行こうよ」
 夏を満喫するように満面の笑顔でそう言った藍里と、彼女を大切に想っている竜城に誘われて、目的地へと歩みを進めている最中。
 ……何だか不思議。あのままだったら、桜の花びらが散ると同時に生を終えていたはずなのにね。まさか向日葵の季節を迎えられるなんて思ってもいなかった。
 だけど命を明日へ繋げられたことよりも信じられないのは、大好きな二人がこちらを向いて、手を差し伸べて、笑ってくれる事実。
 未だに思う時があるの。今ある日常は全て夢なんじゃないかって。

 両手で作った器じゃ受け止めきれないほどの幸せに触れているはずなのに、ふと過ぎる不安。あの日以来、二人の気持ちが常に降り注いでいるのに、避けようとする私がいる。
 それなのに、どうして? どうして……自ら逃げているくせに、もっと近付きたいなんて思ってしまうの。
 当然のように並んで前を歩く藍里と竜城の背中は、以前と違ってとても近い。手を伸ばせば触れられるはずなのに、そうするには遠くて。
 どれだけ幸せを感じても、胸の奥に居座って顔を覗かせる疑問。本当にあなた達と一緒にいていいの?
 本音が聞きたい。でも、聞くのが怖い。疎ましがられるのも、愛してもらえるのも怖いだなんて、本当に矛盾しているわね。

 ふっ、と小さく漏れた溜め息は、額の汗を拭うふりをして誤魔化すの。
 落ち込みかけた心を浮上させるためと、容赦なく照り付ける太陽に「お願いだからもう少し柔らかな光にしてもらえない?」と言うついでに、空を見上げた時だった。
 人が、宙に浮いている。それも三人も。…………あぁ、暑さで幻が見えているのね。
 数回瞬きをして、頭を軽く振ってみるけれどその姿は消えない。と言うことは、幻では無くてそこにちゃんと実在しているのかしら。
 男性一人に、女性二人。まるでお伽話に出てくるような服装をしている三人は、私を見て何やら話しているみたい。
 普通は、空を飛ぶ異世界の人達に驚くんでしょうね。でも、あの人達からは不穏さを感じないから、どうもそんな気にはならない。
 不思議で奇妙、それなのに穏やかな雰囲気を纏う三人はどんな関係なのかしら。歳が近いようで離れているようだから、兄妹? それとも友達?
 何にせよ、とても仲が良さそうで……羨ましいな。

 私も竜城と藍里の三人で一緒にいるけれど、それは見た目だけ。心の距離は決して縮まらない。
 背中に付いて行くのをやめて、ここで足を止めてしまおうかしら。
 どうか、振り向かずに先へ行って。今までのように私を意識しないで。二人は二人だけで新しい記憶を作って。
「朱里ちゃーん、どうしたの?」
「朱里! そんな所で突っ立ってどうしたんだ?」
 どうしてなの。傷付いてしまう前に離れて欲しいと願ったのに。
 大好きな声に名前を紡がれると、存在を認めてもらえている嬉しみで導かれてしまうじゃない。
「ううん、何でも無いわ」
 まだ走れないから、少しだけ足を速めて近付く。でも、手招きしている指には触れない。触れられる訳がない。
 近付くことが許されるのは、数歩離れた今の距離まで。並んでいる二人の横に立つことは絶対になくて、これから先も彼らの後ろを歩くだけ。
「ぼーっとしてたけど、大丈夫か? 暑いから体調が悪くなってきたか?」
「ペットボトルを凍らせたのを持って来たの。はいっ」
 頬に当てられた冷たさに、小さな悲鳴をあげてしまった。
 そんな私を見て二人は微笑むの。それなのに、優しくされたことがどうしてか落ち着かなくて、頬が暑さだけじゃない赤に染まる。
 向けてくれる気持ちに嘘偽りが無いのは分かっているのよ。
 でも、怖いの。何よりも誰よりも大好きな人達が、長年を越えて私を見てくれるようになったのに。……見てくれるようになったから?
 本音に気付かないふりをして、拒んでいるのは私の方なんだって分かっているけれど。


 藍里に渡された冷たいペットボトルに癒されつつ、再び歩き始める。すると、一面緑に覆われた場所が開けて見えて。
 あれがきっと向日葵畑ね。ここからではまだ花びらが見えないけれど、間近に臨めば……と思ったんだけど。
「あれ? 藍里、……咲いてないぞ」
「えーっ、嘘でしょ!? 何で、どうして!?」
「時期が早かった、と言うことじゃないかしら」
 瞼を開けるのを拒むように、花弁を固く閉ざしている真夏の花。まだ視界に世界を映すのが怖いのね。
 ぎゅっと目を瞑ったまま立ち並ぶ向日葵達に、自分の心を表現されたようで、少し切ない。それなのに、私だけがそうじゃないんだと勝手に親近感を抱いて、どこか安心している胸を自覚する。
「今度、また来ればいいじゃない。来週くらいになれば満開になってるよ」
「うぅ……。暑い中頑張って来たのに! 向日葵に囲まれながら、朱里ちゃんと一緒に写真を撮ろうと思ってたのに!」
「おい、俺は」
「竜城ちゃんはカメラマン!」
「あのなぁ……」
 竜城をからかいながらも、よほど落胆したのか肩を落として俯く藍里の声は少し震えていた。
 ふっと静かに視界を閉ざして思うこと。
 私も藍里のように悲しい時は泣いて、嬉しい時は笑えればいいのに。涙も笑顔も上手く出来ない。
 そして。藍里と竜城が差し伸べてくれる言葉を受け入れられない。いつか、自らに向けられている愛情を直視して、心を紐解けば……向き合えるかしら。
 どうか少々の自信を持ちたい。そう願いながら、瞼を開いた時だった。
 水色の柔らかな光が空から注ぎ、輝きが一面を包み込んで。真夏の時間が一瞬止まる――
「な……、んだよ。これ!」
「わぁっ、すごーい……!」
 これは魔法かしら。言葉で説明出来ない神秘的な光景に、ただ見惚れるばかりで声が生まれない。

 先ほどの光がきらきらと舞い降りた後、向日葵達が私の真似をしたの。固く閉ざしていた蕾を瞼に見立てて、ゆっくりゆっくりと開いていく。
 目を瞑って逃げるのは、もうやめるの。今日からはここにいながらにして、世界を見つめるのよ。
 そんな声が聞こえてきそうなほどに、強く、元気に咲き誇る真夏の花。
 たった数秒前までは一色のみに包まれていた野原を、緑と黄が仲良く綺麗に彩る。

「ねぇ、今の何なの!? あれも朱里ちゃんの能力?」
「いえ、違うわ」
「じゃあ、どうして一斉に咲いたんだろうな。俺達のため、とか? ……まさかなぁ」
 まさかじゃないのよ、竜城。
 空から見守っていてくれたあの人達が魅せてくれた奇跡だもの。何の根拠があってそう言い切れるかと言うと、降り注いだ水色の光があの人達が纏う雰囲気と同様に柔らかかったから。
 どうして私達に感動を与えてくれたのかしら? と考えながらも、それ以上に溢れる幸せ。胸の奥が静かに鳴って、温かくなって、頬が柔らかく緩んでいく。
「朱里ちゃん、ちょっと待って。今、すっごく可愛い笑顔だった! あーっ、写真を撮れば良かった!」
「え? どうして私の写真なんて撮るの? 藍里は似た顔なんだから、自分の笑顔を撮れば……」
「それじゃ意味がなーいっ!」
 携帯電話片手に、空虚にカメラのシャッター音を連発させて喚く藍里。何についてそんなにも悔しがっているのかが分からなくて、きょとんとしてしまう。
 彼女の喚く理由が分からないからなだめようにもなだめられずにいると、竜城が藍里の頭に手を乗せて言う。
「藍里、大丈夫だって」
 これから何度だって、朱里の笑顔を見られるはずだから。な?
 まさか、想像しもしなかった発言に目を見開いたまま硬直してしまったんだけど。私の頭もぽんっと撫でてくれた手の温かさに、緊張は解けていく。
 藍里に向けたのと同じ微笑みと優しさを向けてもらえたことが嬉しくて、この時ばかりは素直に頷けるわ。

 眼前に広がった黄を堪能してから空を見上げるも、そこには雲しかいない。
 奇跡を魅せてくれた不思議な人達へ、ありがとうの音が届きますように。
 もしもまた出会える機会があったなら、その時はあなた達三人に負けないくらい仲良しな私達になれていますようになんて、ちょっと高望みし過ぎかな。
 だけど、今ある違和感を少しでも拭って、自信を纏って。
 あなた達のように、三人でいることが当たり前として思える私になれたら……と願っているの。



※感想&お礼
 今回も事前にお話を書いて頂けると聞いていたので、開設記念日が待ち遠しかったです♪
 では、感想行きます!

 まずは「明陽」組。レイン達が居ないと、この子達はあっという間に幼馴染みに戻りますね(笑)透子と泪花が、気分転換にと明人を連れ出して、楽しそう。
 向日葵畑の光景が読んだだけで思い浮かぶ表現は、さすがに朱音さんだと思います! たくさんの向日葵色、太陽の光を体現するかのようなその色を明人に見せて、疲れてる彼に元気をあげたいと思う透子が可愛いなぁ。
 「秋の落ち葉が軽やかに歌って……」からの表現がとても好きです。「一年」と言葉で表す事はとても簡単なのだけれど、こんな風に「一年」を表す方法があるなんて……。
 さて、向日葵畑についた三人。だけど向日葵は咲いていなくて。がっかりしただろうな、透子……。
 それでも最悪、明人とのデートになれば良かったけど、泪花いますしね(笑)そのままケンカ発生……も楽しそうだったけれど、さすがにこの年でケンカは……するか。この二人なら。……うん、やりかねない。
 そこに現れた、桜涙の三人。透子達の死神の姿を捉えた朱里。設定上、死に近付いた者は死神の姿が見えるという事になっているので、見えるとしたら朱里だけなんですよね。なので、「死神を統べる者」である明人が朱里を知っているのも当然の事です。
 ここからの流れが、本当に好きです。朱里の行動や仕草、近づけない距離。明人と泪花が付き合っていると思っていた頃の、覚えのある感情に胸が軋む透子。その透子が泪花に頼んだ願いに、私は胸がいっぱいになりました。
 朱里の笑顔を望んでくれて、ありがとう、透子。

 次は「桜涙」組。藍里に誘われて、向日葵畑へと来た朱里。ここからの描写がもう、切なくて切なくて!
 朱里は未だに、現実を見る事を怖がってて、夢なんじゃないかと、儚く消える幻の中で微睡んでいるような感覚でいるようです。それでも、逃げてても、幸せに近付きたい気持ちは朱里の中に確かにあって。なのに、現実と認めていない心が邪魔をする。矛盾する朱里の心が、とても上手く表現されていて、私は泣きかけました。
 ふと、空を見上げた朱里が見つけた透子達の姿。ここで驚かないのが朱里だよね……。仲が良さそうな透子達を見て、羨ましいと思う朱里。けれど、自分から離れようとする朱里。でも、藍里と竜城はもう二度と、その手を離す事を望みはしないよ? 何度だって呼ぶよ。朱里が現実を認められるまで。ううん、認める事が出来たとしても、ずっと、傍で。
 朱里の心の葛藤が、とても緻密に表現されていて、そして今の私の心情ともリンクしていて、朱音さんの書き方に、改めて感服です。
 咲いてない向日葵に、がっかりする藍里と、朱里と一緒に写真に収まる事を許されない竜城に笑いました。藍里、意地悪しないの!(笑)
 だけど、朱里が瞳を開けた瞬間に、一斉に咲き誇る向日葵たち。その時の光景がもう、言葉に出来ないくらいに想像出来て。朱里の頑なな心を解いてくれてありがとう、泪花。
 朱里の笑顔を写真に撮りたい藍里に対しての、朱里の返答が笑えます。……朱里、いくら双子でも笑い方は全然違うのよ……? まったく、この子は。そして竜城、成長したねぇ、と、何だかしみじみしてしまいました(笑)

 全体的な感想として、私は最初読んだ時、((((ヽ。・ ・。)ノ → 。゚(゚´ω`゚)゚。 → (❃´◡`❃)と、朱音さんにお送りしました。
 嬉しくて、あまりに優しい物語で泣きそうになって、そして最後はとてもほんわかして。
 朱音さんの書き方や、言葉の選び方がそうさせているのかも知れないし、透子や朱里の心情を、朱音さんがしっかり汲み取って下さったからこその物語なのかも知れません。
 本当は、一つ一つの文章に対して延々と感想を綴りたかったのです。でもそうしたら、それこそこれの3倍くらいになってしまったので、大分削ったのですが……。咲いていない向日葵に自分を重ねる朱里、そんな朱里の姿に自分を重ねる透子の描写がとても良く伝わってきて……。……あれ? そう書くと、朱里と透子って似たもの同士……? 性格大分違うはずだけど。
 とにかく、朱音さんが今回書いて下さったこの物語は、今まで頂いたものよりも更に上手く書かれていて、素直に感嘆致しました。

 朱音さん、今回も素敵な物語をありがとうございました!

 以下は恒例の小話です。

「あの子の笑顔が見られて良かったな、透子」
「うん! 泪ちゃん、ありがとう」
 あれだけの花を全て一斉に咲かせるのには、それなりに強い力を持っていないと出来ない。それを知っているからこそ、透子は泪花に礼を言いながら抱きついた。
「ふふっ、大したことじゃないわよ。まぁ、明人くんも、少しは癒された?」
 明人くんの為じゃないけどね、と悪戯顔で告げる泪花に、明人は苦笑を返す。
「はいはい、充分癒されましたよ」
 ありがとな、と明人の腕が伸びて、泪花と透子の頭を撫でる。その温もりは、遠い遠い昔からずっと変わらない。ただ、泪花と一緒に触れるその手は、透子を「妹」として扱っているのが、少しだけ淋しいけれど。
「あの子にも……」
「ん?」
「あの子にも、こんな風に傍にいてくれる人、いるといいな……」
 突然抱きついても、抱き締め返してくれる泪花のように。そっと頭を撫でてくれる、明人のように。彼女を拒むことなく、そして彼女が安心出来る存在がいればいいと、透子は願う。
「……そうね。でも、大丈夫よ」
「だな」
 明るく彼女の名前を呼んだ、前を歩いていた二人がいれば、と明人は笑った。
「まだ、あの子自身が二人との距離を測りかねてるみたいだから、先は遠いかも知れないけど」
 それでも、彼女を現世に繋ぎ止めた、あの二人の傍にいればきっと――――。
 だから、ねえ、どうか。次に彼女を見かけた時には、今日よりももっと、幸せに笑っていますように。
「さーて、帰るか!」
「帰ったらまた仕事漬けだけどねー」
「泪花お前、俺苛めて楽しいか?」
「それは言わぬが花ってね?」
「も~、ケンカしないで?」
 透子の願いに、泪花と明人は優しい笑顔を浮かべた。

「綺麗だったねー!」
 何の前触れもなく、一斉に咲いた向日葵畑からの帰り道、藍里が「満足!」とばかりに両腕を目一杯空に向けて伸びをする。
「でもびっくりしたよな。本当に魔法みたいだった」
「……そうね」
 きっと、あの時空に浮かんでいた三人が起こしてくれた奇跡。目にした向日葵畑の光景を思い出すと、自然と朱里の頬が緩んだ。その隣を歩く竜城が、ぽつりと呟く。
「魔法、か」
「え?」
「昔の事、思い出した。お前の能力を、初めて見た時のこと」
 竜城の目の前で、藍里の傷を治したのはもう遠い昔の話だ。あの時は、子供故の純粋さからか、竜城は「すごい」と言って目を輝かせていたけれど。
「あの時俺、魔法みたいだって思ったんだ」
「……私の、能力を?」
「うん。目の前でさ、藍里の擦り傷がどんどん治っていって。それが魔法以外の何に見えると思う?」
 まして、幼い子供の目に映る不可思議現象に当てはまる言葉は、魔法以外になかっただろう。
「……そうかもね」
 子供の単純な思考を思い出して、朱里はふわり、と綻ぶように笑った。
「……っ」
「竜城?」
「あーっ! 惜しかった!」
 何故か息を詰めた竜城に声をかけた瞬間、真横から藍里の悔しがる声が聞こえて。何事かと思えば、藍里は携帯電話のカメラをこちらに向けていた。
「竜城ちゃんばっかり朱里ちゃんの笑顔見て、ずるい!」
「予測がつくなら俺だって撮ってるっ!」
「……えぇと?」
 ぎゃあぎゃあと騒ぎ始めた竜城と藍里を前にして、この場をどうしようかと悩んだけれど。何だか楽しくなってきてしまって、朱里はまた笑顔を咲かせた。
 言い合いに夢中になっている竜城と藍里には、気付かれぬまま。



 こんな素敵な物語を書かれる朱音さんのサイトはこちらです。 → 「空想 i
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