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暁のヨナ 誓いと覚悟

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優しく笑っていた彼は、幻……?



『私はずーっとずーっと、あのまま三人で風邪引いて寝ていたかったです』

 そう笑っていたお前は────王という立場を得て、笑えているのか?

「どーにも解せないんですがね、姫様」
「何が?」
「スウォンが陛下を弑逆した理由です」

 スウォンがイル陛下を殺した。それは彼自身の口から聞いたし、ヨナの様子からもそれが真実であることが読み取れた。だが、その理由をハクは知らない。
 いつかは問わなければならない事。そして、今ならば多分聞けると思った。ユンがいて、キジャがいる今、ヨナは笑顔が増えたから。

「……父上が、伯父上を……剣で刺し殺したと」
「イル陛下が、ユホン様を?」
「父上は殊更に武器を嫌っていたわ。そんな父上が、人を、殺すなんて……」

 臆病な王だと囁かれていたイル。ハクは、彼が決して臆病な王ではない事を知っているけれど、実兄を殺害するなどと、到底真実だとは思えない。

「……スウォンがその現場を目撃した、と?」
「……それは、聞いてないわ」
「だったら……」

 王になったのがスウォンの意志だとしても、そもそもの発端が偽りであれば、スウォンとて、誰かに操られている可能性もある。
 そこまで考えて、ハクは緩く首を振った。

(……考えてどうする)

 今更何も変えられない。ヨナさえ生きて緋龍城に戻ることが出来れば、スウォンを玉座から引きずり下ろして……。
 その後は、彼を。……殺すしか、なくなるのだろうか。いや、それ以前に。

(殺せるのか……?)

 ヨナはスウォンを殺せない。彼女の心にはまだ彼がいる。捨てられない簪がいい証拠だ。
 だから、ハクがやるしかない。あの、優しい笑みを浮かべた幼馴染みを、この手で。

(まだ、猶予はある)

 ……まだ四龍をすべて集めたわけではないから、……それまでは。
 それまでには覚悟を決めよう。高華の雷獣と言われたハクだって、迷う時はある。だが、その時に……スウォンと対峙した時には迷わぬように。
 決意を固めるように、拳を握り締める。

「ハク……?」

 不安げに見上げて来るヨナの瞳に自分の顔が映り込む。
 イル陛下の、きっとただ一つの心残り。彼女だけは……ヨナ姫だけは、守り抜く。

「私はきっと、……憎まれていたのね」

 自嘲気味に笑うヨナに、「それは違う」と言ってやりたかった。だが、「違う」事を証明出来るのは、外ならぬスウォンだ。そして、「違う」と言ったとしても、ヨナ自身が信じないだろう。

『ハク。ヨナを、守ってください、ね』

 あの言葉は、いずれ自分がヨナの敵になる事を決めていたからなのか。だがそれなら何故、『守ってください』などと言ったのだ。

「私、全然気付けなかった……っ!」

 堪えていたらしい涙が、頬を伝う。
 スウォンはヨナを愛していた。それがどんな形であれ、スウォンならヨナを幸せに出来ると思っていたから、ハクは自分の想いを封じることにしたのに。
 愛おしんでいたはずの姫を、こんなに泣かせて。

(お前は今、笑えているのか……?)

 王という立場を手に入れて、それで本当に満足しているのか。傍らにヨナも、ハクもいないあの城で。
 静かに涙を零すヨナを抱き寄せて、ハクは昔の、あの優しい幼馴染みの笑顔を思った。


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