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2/16 寒緋桜 「善行」

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拍手SSの再掲です。

2/16 寒緋桜 善行
明るき陽の光を 幼なじみ三人組


「あら、透子?」
「何してんだ?」

 中学からの帰り道。とうに部活を引退した明人と、足を怪我した為に部活を休むことになった泪花が、二人で肩を並べながら歩いていた帰り道の途中。
 道路の端にしゃがみ込む、ランドセルを背負った透子の姿を見つけた。

「透子!」
「あ、明人くん、泪ちゃ……どうしたの足!?」

 泪花が体育の時間に捻った足首の包帯を、目敏く見つけた透子が駆け寄ってくる。

「ちょっと大袈裟に包帯巻いてあるだけよ、大丈夫。それより、透子こそどうしたの?」
「えっと……」

 透子の視線を、明人と二人で追い掛ける。そこには、ぴくりとも動かぬ雀が一羽。

「……死んで、る……?」
「のかな、って……。だったら、埋めてあげようと思ったの」

 その言葉を受けて、明人がその場にしゃがみ込み、雀の体にそっと触れた。
 とうに温もりは消えていて、動かぬ雀。もう……二度と目を開けないだろう。

「公園……は、まずいよな」
「家の近くに空き地があるじゃない、あそこは?」
「あー……ま、いっか」

 一応、空き地にも持ち主はいるのだけれど、どこの誰だかも解らないのだし、と明人は笑った。動かぬ雀を、両手で持ち上げようとすれば、横から小さな両手が差し出される。

「透子?」
「私、持っちゃダメ?」

 見つけたのが透子だから、最後まで責任を持ちたかったのだろう。小学一年生の透子に、そんな自覚があるかどうかは解らないけれど。
 明人は穏やかに微笑んで、透子の小さな両手に雀の亡骸を乗せた。
 そうして空き地に辿り着き、明人が自分の家からシャベルを持ち出して。ざくざくと土を掘って行く傍らで、泪花がその空き地に咲く白詰草やクローバーを摘んでいる。

「泪ちゃん?」
「お花の代わり。ね」

 編み込むように小さな輪を作り、明人が掘った穴の中にそっと置く。

「透子」

 呼ばれた透子は、その小さな輪の上に、そっと雀を横たえた。

「……こういう時、何て言うの?」

 透子はまだ、近しい人を亡くしたことがない。

「そうね、安らかに……かな」
「だな」

 言われるままに言葉を復唱し、手を合わせる。その間に明人が土を被せ、そして最後に、泪花が白詰草を供えた。

 後日、この光景を見ていた近所のおばさま方に、優しい子達ねと褒められて。
 明人と泪花は若干気恥ずかしい思いをし、透子は満面の笑みを浮かべた。

明るき陽の光を 目次

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