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2/15 ジャノメエリカ 「博愛」

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2/15 ジャノメエリカ 博愛
塩の街 秋庭×真奈





「真奈ちゃんっ!」

 お帰りなさい、と出迎えるのは、いつもならば夫である秋庭のはずなのに、今日は違う顔が現れ、真奈の名を呼んだ。そしてその顔は、先日読んだ雑誌に、著者近影として載っていた顔と同じで。

「え、えぇ!? ノブオくん!? どうして!?」
「……基地の取材に来たんだとさ。つーか、真奈から離れろ色ガキが」
「いてっ、相変わらず乱暴だね~秋庭さん」

 真奈の肩を掴んでいただけのノブオの手が、秋庭によって引き剥がされる。

「秋庭さん、男のヤキモチはみっともないよ?」
「真奈、針と糸持ってこい。こいつの口、縫い付けてやる。なけりゃ基地から瞬間接着剤か」
「高範さんたら……」

 言葉こそとんでもないものの、口元は笑っているから冗談だと解る。三年ぶりの再会は、真奈の作った料理と、ノブオが書いた記事の事で盛り上がった。

「ね、真奈ちゃんは秋庭さんが結晶攻撃するって決まった時、どんな気持ちだったか聞いてもいい?」
「え……」
「あ、記事にはしないよ? ただ聞きたいだけだし、言いたくなければそれで」
「ううん……。あの時、私は────」

 思い起こす。あの時、真奈は思い知らされたのだ。
 世の中が平和だから、博愛精神だなんて言えたのだと。すべての人を平等に愛するなんて、出来るはずがないのだと。
 あの時……戦闘機で結晶を破壊すると言う、秋庭を止められなかった時に、そう思った。

『世界なんか救わないで! 秋庭さんが無事でいて! もう、旧い世界の方が良かった何て言わないから!』

 知らない他人や、塩になったであろう既に亡い両親のいた過去よりも、あの時の真奈に一番必要で、大切だったのは秋庭だったから。
 あの時、すべてを愛せた人なんて、きっといない────。

 そう、穏やかに話終えると、徐に秋庭が真奈の頭を撫でた。

「……悪かったな」
「いいえ。譲れないものが同じでも、方向性が違っただけですから」

 既に過去の事だ。今は、秋庭は生きて傍にいてくれる。それだけで十分だから、と真奈が笑うと、ノブオも笑った。

「……真奈ちゃん、ホントいい女だね」
「やらんぞ」
「取らないよっ。ってか、真奈ちゃんがダメだよ、秋庭さんじゃなきゃさ」

 ね? と訊ねると、真奈が頬を染めて小さく頷いた。

 秋庭だから、真奈だから。すべての人を平等に愛せなくても、互いに互いが必要で、大切だと思えればそれでいいと、真奈は思った。

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