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2/14 ヒマラヤ雪ノ下 「秘めた感情」

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2/14 ヒマラヤ雪ノ下 「秘めた感情」
執事様のお気に入り 征貴×真琴



「真琴様」

 感情の色がなかなか見えない征貴の声に呼ばれる度に、真琴の心はほんのりと温かみを増す。
 彼が真琴の名を呼ぶ、その瞬間だけは……他の誰を呼ぶ時とは、感じる色が違うような気がするから。
 自惚れかもしれない。彼にとっても真琴は特別かもしれない、なんて。
 もちろん、真琴にとっての征貴は特別だ。主従という関係を抜きにしたとしても、異性として彼を思っていると断言出来る。
 けれどこれは、知られてはならない想い────。
 学園主催のパーティー当日、征貴が用意してくれた膝丈のワンピースドレスを着て、真琴が髪を梳かしていると、扉をノックする音が聞こえた。

「どうぞ」

 良か、薫子かのどちらかかと、振り向きながら返答した真琴が見たのは、その手にいくつかの小さな箱を持った征貴だった。

「征貴?」
「アクセサリーをお持ちしました、真琴様」
「ここにあるけれど……」
「そちらに用意した物よりも、こちらの方が本日のドレスには映えるかと」
「ありがとう」

 そう言って箱から取り出されたのは大きめのダイヤモンドを使ったシンプルなネックレスと、対になるブレスレット。そして、黒髪に映えるように、いくつかの白い小さな花が集められた髪飾り。

「……征貴」
「はい」
「髪を、……結ってもらえますか?」

 自分でも結えないわけではないけれど、今日は少し、甘えてみたくなった。

「ご希望はございますか?」
「征貴に任せます」
「では」

 鏡台の前に座る真琴の後ろに、征貴が立つ。櫛を手にした彼の手が、髪に触れる。
 言い出しておいて何だが、少し気恥ずかしくはなったものの、真琴は黒髪を梳く征貴を鏡越しに見つめた。

(好きです……)

 そう言えたなら、どんなにいいだろう。けれど、彼はあくまで仕える者としての立場を崩さない。
 真琴がこの想いを伝えたとしても、恐縮しながら断られるか、あるいは「命じられたならば」と受け入れるかのどちらかだ。
 どちらにしても、主従の関係が邪魔をする。でも、主従だからこそこうして傍にいられる。
 今の真琴には、傍にいられる時間の方が大切だった。
 楠家の一人娘として、いつか誰かに嫁ぐ日も来るだろう。伯王のように、総てを手に入れようと……そんな努力さえきっと、許されない。
 ふと、鏡越しに征貴と視線がかち合った。いつもなら逸らしてしまうけれど、今は……。

(今はただ……このままで)

 絡む視線に誓うように、真琴は願った。

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