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2/13 スイートピー 「門出」

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2/13 スイートピー 「門出」
夜明けの光 フレイル×レサリーア


 前王を弑した事実は変わらねど、それは罪ではなく民を救う英雄行為だと現王であるティルが告げた為、法的には何の刑罰も与えられなかったフレイルが、レサリーアとセパを連れて王宮に戻った夜。
 新たな国の門出だと喜ぶ城下街とは裏腹に、王宮内は静まり返っていた。

「皆……今夜は、眠らぬつもりか?」
「そうかもしれませんね」

 窓から城下街を眺め、苦笑するフレイルの呟きに、レサリーアが言葉を返した。
 城下街には、あちこちに光が溢れている。普段ならばとうに蝋燭の明かりを消して、夢の中へと誘われる刻限だろうに。
 ティルが王になった事を、それ程喜んでくれるのは、素直に嬉しいと思う。だが、……それ程に父は────前王は疎まれていたという事実も、胸を刺す。
 解っていて、父を弑した。その罪を償えるのは、もう自分自身だけ。法的には与えられなかった刑罰を、与えられるのはフレイルだけなのだ。
 そんな決意を込めて、握り締めた拳の強張りを解くように、レサリーアの少し冷たい手が、手の甲を撫でた。

「ティル様と、アーシャ様が……仰ってました」

 言葉の続きを促すように視線を下げると、穏やかながらも凛とした表情とぶつかった。

「公に刑罰を与えないことで、フレイル様はきっとご自身を責めると。でもフレイル様、お忘れですか? 街の方々の言葉を」

 言われて、ハッと気付く。レサリーアに連れ出された先で出会った街の人々の言葉を思い出す。

『日頃の感謝なんだから、受け取っておくれ』
『罪は我らにもある。ただ助けてもらうのを待つばかりだった我らとて、罪深いのだから』

 りんご売りの女性が、薬売りの男性が、穏やかに告げた言葉達。

「……貴方が前王を弑した、それは変わらぬ事実です。けれど罪は、貴方一人のものではありません」

 この国に生きる総てが、背負うもの────レサリーアは、厳かに告げた。

「もちろん、私の罪でもあります」
「レサリーア……」
「その罪を解った上で、新たな国の門出を夜通し祝うのでしょう。……勝手な想いかもしれませんが、新たな王の元、幸せに生きることこそが、皆に出来る罪の償い方なのだと、私は思います」

 前王とて、最初から疎まれていたわけではないのだ。長い月日の中で、歪んでしまっただけ。……その歪みがもう、正せぬところまで来てしまったから……弑した。

「ですから、フレイル様。……喪に服すのも大切ですけれど、今夜だけは……新たな門出を祝いましょう?」

夜明けの光 目次

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