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2/12 アイスランドポピー 「慰安」

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2/12 アイスランドポピー 「慰安」
雨の弓 レイン×ユミ・ヨウ×コーリ


『レインが落ち込んでるから、傍にいてあげて』

 訓練を終えたユミの部屋に、仕事を終えてきたコーリが訪ねてきて、そう告げた。何が理由かを聞かぬまま、ユミはレインの部屋に辿り付き、少し躊躇ってからノックする。

「レイン……」
「……ユミか?」

 若干の空白の後に、掠れたような声音の返答。入るよ? と断ってから扉を開ければ、ベッドの上、腕で瞼を覆い隠しているレインの姿があった。
 近寄り、ベッドの端にそっと座る。僅かに軋む音を合図にしたように、レインが小さく笑った。

「……コーリ、か」
「うん……」

 ユミを差し向けてきたのがコーリだと、すぐに解ってしまうほど、二人の付き合いは長い。そんな距離にちょっとだけ妬けるけれど、そんなのは後だ。

「……何があったの?」

 そっとレインの腕に触れ、原因を訊こうとしたけれど、彼の唇は引き結ばれている。

「……お茶でも、いれるね……?」

 温かいものを飲めば、少しは気持ちが楽になるかもしれない。そう思って立ち上がろうとしたユミの手首が、レインの大きな手に捉えられ。

「きゃ」

 そのまま力強く引き寄せられ、レインと向かい合うように横になる。

「レイン?」
「少しだけ……このまま」

 告げると同時、レインの腕がユミを力強く抱きしめる。微かに聞こえる鼓動は穏やかなのに、その腕が、震えている。まるで何かを堪えるように。自分の中だけで、胸の内を消化するように。

(ああ、昔もこんな事、あった……)

 まだ、二人が現世にいた頃。ひかりの目が見えなくなるかもしれないと……それでも手術を受けると決めたひかりを、雫が抱きしめた時と同じ感覚だった。
 だからユミは、同じくらいの強さでレインを抱き締め返した。彼の胸の内が、少しでも早く穏やかになるように。

 ユミにレインの部屋へ行くよう頼んだコーリは、自室で一人、静かに泣いていた。

(やっぱ、今回はちょっと辛かったな……)

 涙が止まらない。ハンカチで目元を拭うけれど追いつかなくて。

「……やっぱ泣いてた」

 そんな彼女を、背後から抱きしめる腕があった。

「……ヨウ、くん……?」

 顔を見なくても解る。コーリの大好きな、愛しい人の腕。

「今日の仕事は多分、落ち込むだろうなと思ってたから」

 休憩がてら会いに来た、と、手のひらが優しく慰めるように肩を撫でるから、その温もりに安心したコーリの涙は、余計に止まらなくなった。

雨の弓 目次

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