Mirage

オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

暁のヨナ Never ever 【4】

暁のヨナ 目次へ 二次創作Index

Pixivに載せていたものと同じです。タイトル違いますが……。

『……あんたは、スウォンを知っているか』


「ハク、医術師を連れてきたわ」
「……医術師? そいつが?」

 思い切り怪訝な瞳でユンを見るハクの姿が、本当に昔のハクそのままだった。テジュンに言い寄られていると打ち明けた時の、あの何とも言えない怪訝な顔と同じで。

(でも、……今のハクが、どこにもいない……)

 昔のハクの面影を見つけるのは嬉しいけれど、……現在(いま)のハクに会えない事は、淋しいと思ってしまう。
 そんな思考に沈みかけたヨナを我に返らせたのは、憤慨したようなユンの声だった。

「ちょっと、見くびらないでよね。今までどんだけ俺があんたの傷治してきたと思ってんの。って、覚えてないんだっけ」
「姫さんが話したのか?」
「ん、まぁとりあえず自己紹介。俺はユン。見ての通りの美少年でとりあえず医術師。ま、正式なものではないけど」
「……美少年関係なくねぇか?」

 戯けたユンの自己紹介が警戒心を緩ませたのか、ハクが屈託無く笑う。

「と、そういえばヨナ、コウは? 包帯と水持ってきてくれるって言ってたよね」
「あら? そういえば……ちょっと見てくるわね」
「よろしく」

 パタパタと部屋を横切り、扉を開けて出て行くヨナの足音を聞きながら、ユンはハクに服を脱ぐように告げた。

「コウの話じゃ、思いっきり幹に背中を打ち付けたんでしょ。ヨナに心配かけたくなくて黙ってるんだろうけど、起きてるのも辛いんじゃないの?」
「……仰向けになってる方が痛い」
「……うわ。うん、これは痛いね」

 上着を脱がせ、背中をはだけさせると予想通り。筋肉質の硬い背中には、酷い打ち身が出来ていた。これはコウが水を持ってきてくれた時に冷やして、それから湿布を作って……とユンがハクの状態を確かめながらぶつぶつと呟いていると、不意にハクがユンに声をかけた。

「コウって、……俺をこんな目に遭わせたヤツか」
「そ。でも責めちゃ駄目だよ」
「責めるつもりはねーよ。姫さんの話じゃ、賊と間違えたって事だし。ただ、今の俺と同い年だっつーから、会ってみたいと思ってさ」
「後で会えるよ。っと、あと痛むところはある? 瞼も血は止まってるし、眼球までは傷付いてなさそうだね」

 痛むところ、と聞かれてハクは何気なく頭に手をやり、「痛っ」と顔をしかめた。

「あ、そっか。頭にたんこぶ作ってたっけ。結局冷やさなくちゃ駄目って事か」

 それにしても、ヨナまでが戻って来ないのはどういう事だろう。

「……なぁ、訊いて良いか」
「ん? 何?」

 ハクの問いには、予想が付いていたけれど、ユンは知らぬ振りをした。

「……あんたは、スウォンを知っているか」
「名前だけはね。イル陛下の兄、ユホン皇子の息子。それぐらいしか知らないよ。俺が会った王族って、ヨナだけだし」
「……何で姫さんは、伝説の四龍なんぞを探してる」
「伝説じゃなくて実在してるけど……高華国の為、としか聞いてないよ、俺は」

 本当は、ヨナが生きる為に、ハクを死なせない為に、彼女は四龍の力を欲した。でもそれを告げてしまっては、ヨナの話と辻褄が合わなくなってしまう。

「どんな奴らだ?」
「俺に聞くより会った方が早いと思うよ。ま、事前情報ぐらいは必要か」

 そしてユンは、一人一人の特徴を並べ立てた。各々の能力と、外見。それから白龍は生真面目、青龍は寡黙、緑龍はお調子者、黄龍はほのぼの、という何とも身も蓋もない説明だったが。

「……何だ、その珍獣共」
「言っとくけど、雷獣も見事にその仲間入りしてるからね?」
「は!?」
「だって『雷獣』だし」

 ちょっと待て、その根拠を詳しく話せ! とハクが喚いているのをユンが平然と聞き流ていると、扉を叩く音が聞こえた。

「ヨナ? いいよ、入って」
「どうしたの? ハクの声が外まで聞こえていたけれど」
「いや、雷獣もしっかり珍獣共の仲間入りしてるって言ったらさ」
「姫さん、何だってそんな珍獣共と!」
「珍獣なんかじゃないわ。ハクだってちゃんと、みんなの事を認めていたのよ?」
「……俺が?」
「ええ。みんな、ハクと同じくらいの力を持っているもの」
「……スウォンよりも、か?」
「……そうね。そうかも知れない」

 スウォンの名を出した瞬間に、ヨナの表情が一瞬翳ったのを、ハクは見逃さなかった。

「なあ、姫さん。スウォンの事で何か、悪い事でもあったのか?」

 例えば、スウォンが病気とか。ハクが思いついた事を口にすると、ヨナは淡い微笑みを浮かべて首を横に振った。

「スウォンは元気よ? どうして?」
「いや……」

 ならば先程のは見間違いだろうか。ハクが感じた違和感はそのまま霧散する。
 そんな二人を、複雑な表情でユンが見ていた。

【3】 ←暁のヨナ 目次 → 【5】 へ
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

琳架

Author:琳架

web拍手 by FC2

 ↑ 9/1変更 (全6種)
 桜涙・雨弓・明陽
 図書戦・LOVE SO LIFE・ヨナ
  ※携帯版が確認出来ないので、こちらに統合しました。

Twitter・SS専用アカウント→ @sakuraironoyoru

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

最新記事

検索フォーム

月別アーカイブ

西暦をクリックして下さい。

カウンター

FC2ブログランキング

ランキングに参加しています。

FC2Blog Ranking

右サイドメニュー

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。