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2/10 ネコヤナギ 「率直」

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拍手SSの再掲です。

2/10 ネコヤナギ 「率直」
図書館戦争 同期三人組



「ほんと笠原って、隠し事に向いてないわよねー」

 しみじみと告げられた言葉に、郁は胡乱げに柴崎を見つめた。

「それは褒めてるわけ? 貶してるわけ?」
「率直で羨ましいって言ってんのよ」
「お前には無理だもんな」

 手塚に若干皮肉られたけれど、そりゃね、と柴崎はこともなげに答える。実験段階とは言え、情報部に所属している身としては、隠し事など日常茶飯事だ。手塚は一応所属していることは知っていても、ある程度の情報以上は、彼にも知らせていない。
 茨城県展の時の、稲嶺勇退の時のように。
 そんな負担を少しでも減らしてやりたいと手塚が思っていることなど、柴崎は知りもしないが。

「どーせあたしは単純ですよ」
「拗ねない拗ねない、あんたの王子様はそんなところが良いんだから」
「な……っ! もう柴崎っ!」

 率直にからかわれて、瞬時に顔を真っ赤にする郁を見た手塚が、未だに現実を認めたくないのか深い深い溜め息をついた。

「で、結局その隠し切れなかった隠し事はどうするの?」
「うん……」

 郁の隠し事とは、堂上にプロポーズされて初めてのバレンタインに、チョコレート以外に、何か彼にプレゼントをしようとしたことだった。
 柴崎にも相談して、こっそり買って堂上を喜ばせようと思ったのだが……事もあろうに休憩中、バレンタイン特集と銘打たれていた雑誌を熱心に読みふけっていたおかげで、背後から堂上が呼びかけていたことにも気付かずに。
 何を熱心に……と覗き込まれて、郁の企みはもろくも崩れ去ったというわけだ。

「その日は公休とも重なったから、一緒に買いに行こうって事になった……」

 ごめんね、柴崎。と本当に申し訳なさそうに謝られて、そんな素直さに柴崎はくすりと笑う。

「なぁに謝ってるのよ。一緒に行って買えるならその方がいいじゃない」
「うん、でも……」
「はいはい、気にしない気にしなーい」

 それだけ自分が大事にされていることに嬉しくなると同時に、少しだけ切なくもなる。きっともうすぐ……郁があの部屋からいなくなる日が来る。
 ……慣れなくては、と思った。率直で、素直で、時々突拍子もなかった彼女がいなくなる事に。居心地の良かったあの部屋で、一人になる事実に。
 ふ、と少しだけ陰りを帯びた柴崎の表情を、横から手塚が眺めていたことには気付かぬまま。
 柴崎は頬を赤らめながらも嬉しそうな郁の話を聞いていた。

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