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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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140字log 【暁のヨナ】 08

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※Twitterでは好き勝手に書いてますので、未来設定・現パロもあります。
閲覧の際はご注意下さい。

・【触れ合い】
・【重ねる】
・【お札】
・【忘れられるなら】
・【価値】
・【触れて欲しい】
・【ただいま】

【触れ合い】

「ハク……」
 指先がくるりと頬を撫ぜて、華奢な手が両頬を挟む。
「……目、閉じていて」
「……はいはい」
 そっと黒い瞳を閉じる。微かに聞こえる息を呑む音に、心の中で苦笑する。
 瞼を閉じたことで暗くなった視界が、更に闇色となり。
 触れ合ったのは――――。

【重ねる】

 触れていた微かな温もりが、離れていくのが惜しくて。閉じていた瞳を開けて、彼女の体を引き寄せた。
「……っ」
 彼女が彼に与えたものよりも、強く、深く重ね合わせて、貪る。
 反射的に後ずさる体は、両腕に力を込めて逃さない。
 愛おしさを隠しもせずに伝えた、声なき言葉。

【お札】

「何だこれ?」
「ん? 何この文様」
 縦に細長い紙に描かれた、不思議な文様。買った味噌の袋に何故か貼られていたのだが。
「なぁに? ……っ! ハク! 早くそれ捨てて!」
「は? 何ですいきなり」
「それ……っ、人の生き血を啜る化け物が額に貼ってるお札……っ!」
「げ」

【忘れられるなら】

「記憶が、思い出に変わっていくの……!」
 そして、その思い出は、なかなか消す事が出来ない大切なものに変わっていく。
 スウォンを好きだった。それは未だに変わらずに胸の奥にある。
 けれど、道を違えた今、その想いは徐々に変化してきているのも事実。
「ねえハク、どうしたらいい?」
「……止められませんよ。誰にも」
 時は刻まれる。空も、雲も、風も、ずっと同じでは有り得ない。
「どんな記憶でも、時が経てば思い出に変わってしまうんです」
 悲しい記憶も、優しい記憶も、全てが遠い過去の思い出となって、胸の中で眠る。
「姫さんは、どうしたいんだ? 忘れたいのか」
「解らない……。でも、これだけは解るの」
「ん?」
「簡単に忘れられるなら、思い出にさえきっとならない……」
 記憶が徐々に変化して思い出になっていくのなら。その記憶さえ残らず消えているだろう。
「……そーですね」
 二人が共有している記憶も、思い出も、たくさんある。だからこそ。
「全部、無かった事にはならないのよね……」
「記憶喪失にでもならない限りはな」
「……一緒に、覚えていてくれる……?」
 城で過ごしたあの日々を。旅に出てから今までを。そして、これからも共に歩むであろう道を。
「忘れたくても、きっと忘れられねぇよ」
 くしゃり、と髪を撫でられた。

【価値】

「私自身に価値なんて無いわ、あるのはとうに消えてしまった肩書きだけよ」
「俺が言ってるのはそういう事じゃない!」
 価値があるとか、無いとか、そういう意味ではない。
「……もっと自分を大事にしろって言ってるんですよ」
 こんな風に、己を蔑ろにさせる為に護ってきたわけではない。
「……充分過ぎるくらい、大事にされてきたわ」
 父にも、ハクにも、そして恐らく、スウォンにも。
「だからお願い、行かせて」
 とうに消えた肩書きでも、今、この場で役に立てるのならば使った方が良い。
「……言い出したら聞かねぇし」
 諦めに似た溜息と共に、強く抱き締められた。

【触れて欲しい】

(あ……また)
 あと少しだけ伸ばせば、触れるはずの手は、躊躇うように拳に変わる。
「どうして、触れてくれないの……?」
「……俺も、驚いてます」
 手に入ったと思ったら、今度は傷つけるのが怖くなった。触れてしまえば、壊してしまいそうで。
「私は、ハクに触れて欲しい」
「姫さん……」
「大丈夫。私、そんなに弱くないわよ?」
 安心させるように笑って見せる。だから、と、ヨナから手を伸ばす。
「……触れて?」
 告げると同時、思い切り強い力で引き寄せられた。痛いくらいに抱き竦められても、今は、それが心地いい。
「やっと、触れてくれた……」
「……もう、止められませんよ?」
 抱き竦められながら囁く声は、彼の熱情を露わにしていて。
「……て、手加減して……」
「無理」
 言うが早いか、あっという間に言葉を封じられた。
「止められないって言っただろ」
「だからって性急すぎるわよっ」
「慣れて下さい」
「そんな……っ。やっぱりダメ!」
「本気で嫌なら逃げられるはずですけど?」
 確かに、そこまで強く拘束されてはいない。
「そんな真っ赤な顔して、説得力ありませんよ」
「ハクずるい……っ!」
「何とでも」
 逃げられない。それを思い知らされたヨナだった。

【ただいま】

「ハク!」
「姫さん?」
 何故必死に走っているのか解らない。
 ただ、ハクに会いたくて。
 どこに行ったかも解らぬ彼を追いかけて、ようやく姿を見つけ。
 勢いのまま、その首元に抱きついた。
「……ただいま」
 小さく呟くと、抱き締める感覚と優しい「おかえり」が耳に届いた。
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