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2/05 クリスマスローズ 「労り」

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拍手SSの再掲です。

2/05 クリスマスローズ 「労り」
桜涙 竜城×朱里



 ……優しくされると、調子が狂う。

「……病み上がりが何してんのかな、朱里サン」

 1時間程度の散歩(とはいえ病院の中庭に出るだけ)が許された朱里が、ボーッとベンチの片隅に座っていると、白いレジ袋を持った竜城が呆れ顔で立っていた。

「ちゃんと父さんに、許可もらったのか?」
「うん」

 ならいい、と竜城がベンチの空いている側にストンと腰を下ろした。

「……毎日、来なくてもいいのに……」

 目が覚める前も、目が覚めた後も。竜城は毎日朱里を見舞いにやって来る。その度に優しい言葉をかけられて、朱里はその違和感に未だ慣れない。
 思わず呟いてしまった小さな言葉は、外だというのにしっかり竜城の耳に届いたらしい。
 ほんの少しだけ、淋しそうな瞳が、朱里を映す。

「……嫌か?」
「そんな事……ない、けど……」

 藍里と一緒に来るなら、まだ解るのだ。朱里の見舞いは「ついで」だと思えるから。
 けれど竜城は、こうしてふらりと一人で現れる。制服姿だから学校帰りだろうに、その隣に藍里がいない。

「……俺が、来たくて来てんだよ」
「でも、だって……」

 そんな、朱里になんか時間を割かなくてもいいのに。……そう思ってしまうのは、……竜城の優しさが、辛いから……?

(違う……)

 竜城の優しさに、気にかけてもらえている事に。慣れるのが怖いのだ、きっと。
 夢じゃないことも、竜城の心が嘘じゃないことは解っていても。あまりにも、今までの境遇と掛け離れすぎていて。

「朱里」
「え……っ、ちょ」

 ちょっと待って、と言い終わる前に、竜城の手が髪に触れた。

「心配ぐらい、させてくれ」
<それぐらいしか、出来ないんだから>

 耳に聞こえる言葉と、頭の中に聞こえる言葉。その裏に、……朱里が怖れるものは何もない。

「……あり、がと……」

 囁くように告げると、竜城は満足げに笑い、手は髪から離れ、彼が持ってきたレジ袋へと移動した。

「食べるか?」
「え……」

 差し出されたのは、拳大のシュークリーム。コンビニで買ってきたのだろう。

「甘いの食べたら、幸せな気分になるだろ。そしたら、そんなマイナス思考も吹っ飛ぶ。……かも知れないし」

 途中までは自信たっぷりだったのに、最後だけが消極的で。一つだと朱里には多いかも知れないから、とりあえずは半分こな、と、竜城はシュークリームを割ってくれた。

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