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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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暁のヨナ それはまるで

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いやはや、止まらないよどうしよう……。
移動の時間が凄く長かったから、その間に書けてしまった代物。
またまたtwitterの絵からです。元絵はこちら


『彼はもう、貴女の護衛ではありません』

(どういう事!?)

 ヨナはハクが傍にいることを望んだ。ハクも、そう望んでくれたはずなのに。
 走りながら、ハクの姿を探す。

(どこに、いるのよ……!)

 ヨナに何も言わずに離れていくつもりなのか。
 そもそも、何故、ハクが離れなければ――――。
 いや、頭の中では解っている。ハクは、過去を知りすぎているから。スウォンの事も、イルの事も。そして、恐らく一番の問題は……ヨナ自身がハクに抱いている感情だろう。
 恋情に溺れし統治者は、国を乱れさせる。ならば、溺れる前に離れてしまえば……そう考えるのも、無理からぬ事だ。
 そんな心配は無用だと、見くびるなと告げたかったけれど……既にハクがここを出たと知らされて、いてもたってもいられなかった。

『ハク様なら、先程あちらの方でお見かけしましたよ』

 途中で出会った証言を頼りに、長い廊下を走り、そして……硝子の向こうに、ハクの姿を見つけた。

「ハク!」

 声が聞こえるとは思っていないけれど、ヨナは窓に駆け寄った。

「……姫さん……?」

 バンッ、と強い音が聞こえてハクが振り向けば、そこには今にも泣きそうな顔をした、愛しき姫の姿があった。
 会ってしまったらきっと引き留められるから、姿を見ずにこっそりと去ろうとしたのだが……どうやら、見つかってしまったらしい。

 紫紺の瞳から零れ落ちていく涙。もう、それをハクが拭ってやる事は出来ない。

「……何つー顔してんですか」

 呟きながら、歩み寄る。硝子越しのせいか、今は身長差が殆ど無い。
 抱き締めて、慰めてやる事も出来ないのだから、泣くな。そんな想いを込めて、フッと笑ってみせるハクに、ヨナはすぐさま首を横に振った。
 ハクが傍にいないのに、笑えるわけがない。この想いが、伝わるように。

 硝子に触れている指先に力を込める。こんなにはっきりと姿が見えているのに、ただ一枚の硝子が邪魔をして、手を伸ばしても触れられない事が、ヨナにはとてももどかしかった。
 コツン、と硝子が叩かれる音にヨナが瞳を開けると、触れている小さな手を覆うように、ハクの手が重ねられていた。

 淋しげに笑うハクの黒瞳が、ヨナを見つめる。

(傍に、いますよ)

 この身が離れても、心はずっと――――……。
 耳には聞こえぬ、瞳だけで語られる言葉。それはまるで、誓いのようで。

(誓い、なら……)

 ヨナは、ハクの瞳を見つめながら顔を寄せた。そして、ハクも。
 どちらからともなく伏せられた瞳は、互いを映すことなく。ただ、冷たい硝子越しに感じた淡い温もりだけが、二人を繋ぐ全てだった。

 また、こつん、と音がして。ヨナが瞳を開けた時にはもう、ハクは「従者」の顔になっていた。そして、紡がれる言葉は……。
 一言だけを告げると、ハクはくるりと背を向けて去って行く。けれど、ヨナはもう、涙を流してはいなかった。
 ハクが最後に紡いだ言葉が、彼女に希望をもたらしたから。

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