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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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暁のヨナ 願いを込めて

暁のヨナ 目次へ 二次創作Index

Twitterにて、また綺麗な絵がありまして。またまた勝手ながら文章を書かせて頂きました!
一部、ツイートを引用しています。

素敵なハクヨナイラストを描かれるみきさんのTwitterはこちらです。綺麗な絵をお楽しみ下さい。
元の絵はこちらです。

しかし、ヨナは一体どこへ行くのだろう……(苦笑)



「どうしても、行くんですか」

 座り込んだまま、ハクは訊ねた。

「行くわ。……私が行かなければ、何の意味もないもの」

 振り返り、強い意志を込めた瞳が、ハクを見据える。

「緋龍王の生まれ変わりだからとか、そんなのじゃない。ただ、みんなを助けられるのが私だけなら」

 行かなくては。そう凛とした声で告げる彼女はもう、城を出た時のままの、何も知らない姫ではない。
 その姿がただ、強がっているだけだとしても。

「……姫さん、ちょっと」
「? 何?」

 呼んだハクの目の前に立ち、小首を傾げたヨナをじっと見つめ……ハクは、おもむろに腕を伸ばして、華奢な体を胡坐の上に導き、抱き締めた。

「ハク……?」
「……震えてます」

 微かに、触れなければ解らないほどの震え。何が起きるか解らぬ場所へ、たった一人で赴かなければならない恐怖故か。

「……武者震いよ」
「そりゃたくましい事で」

 彼女の緊張を解すかのように軽い口調で告げながら、心の中では違う事を考える。

 本当は、行かせたくない。ハクが傍にいられない場所になど。傍で守れない未知の場所へなど。
 弓も、剣も教えた。技量そのものは未熟なれど、ハクが相手をした事で、例え獣であろうとそうそう傷を負う事はないはずだ。
 だが、今から行く場所にいるのが、獣だとは限らない。生きている人間だという保証もない。例えば、そう――――彼女にとって愛しき者の幻だとしたら……。
 ヨナは、帰って来ないかも知れない。
 そんな自身の心の中を押し隠すように、ヨナを抱き締める腕に力を込める。

「頑張れ」

 今のヨナに必要なのは、引き留める言葉ではない。不安を煽る言葉でもない。
 ただ、励ます言葉だけ。

「今のあんたなら、大丈夫だ」

 保証する、と安心させるように微笑んで、僅かに上にあるヨナの顔を見上げると、ヨナの小さな手がそっとハクの服を握りしめた。

「うん、……頑張る!」

 恐怖を押し隠しながら、笑える強さ。いつでもハクの傍にあった、愛しい温もり。
 もう、……手放す事など出来はしない。

(……俺が俺である為に。俺には、あんたが必要なんです)

 ヨナを守るのは彼女の為だけじゃない。彼女と共に在る事で、ハクは自分自身をも守っている。
 ヨナが生き抜く事。天命を迎えるその時まで――――傍らに在れるように。それが、ハクの願い。

「……待ってますから」

 呟いて、目の前にある白い喉に、ハクはそっと唇を寄せた。

「え、ハク……っ?」

 くすぐったいのか、それとも別の何かが彼女を襲っているのかは解らないけれど。
 どうあっても、この腕の中に閉じ込める事が出来ないのなら。羽ばたく事を、止められないのなら、せめて……。

(俺の元に、帰って来られるように)

 願いを込めて、喉元に赤い華をそっと咲かせる。

(どうか、無事で――――)

暁のヨナ 目次
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