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拍手SS 桜涙 「言葉の価値 その後」

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2013年 10月 携帯用SS
桜涙 幼なじみ三人組+一海


 藍里のケーキを食べ始めてすぐに、一海が京佳と共に仁科家を訪れた。二人の分の皿と飲み物を、と朱里が台所に立って少しした頃。一海の少し低い声が、朱里を呼んだ。

「藍里から聞いたけど、お前……今日の事」
「……大丈夫、別に気にしてない……」
「嘘つくな。……いや、嘘じゃないのか……お前は本当にそう思ってる、けど……どこかで引っかかってる。……違うか?」

 嘘を許さないと告げている鋭い瞳に射抜かれて、朱里は「藍里達には、言わないで」と呟いた。

「……お前なぁ……」
「だって……」

 川代が言った事が、どうでも良かったのは本当だ。そして、悪意や敵意であっても、竜城と藍里に認識されていた事が嬉しかったのも、本当。偽りの感情など無い、ただ、……真実の一部しか、竜城に伝えなかっただけで。

「……お前は、許す事しか出来なかったんだな」

 自分の為には怒れない。それは今まで自分の存在が希薄すぎたから。

「許さないとも、許せないとも、言えなかったのか」

 こくん、と朱里は頷いた。許さない、という言葉は、裏を返せばそう言い聞かせないと許してしまうから。そして、許せないと思える程の強い感情を抱き続ける事は、朱里には難しかった。
 だから、許せない事なんてないのだと告げた。結局は許してしまうのなら、同じだと。
 そう思った時、リビングに続く入り口から怒声が聞こえた。

「……っの、バカ!!」
「っ、竜城っ……?」
「約束しただろ! 一人で抱え込むなって!」
「おー、怒れ怒れ。俺が許す」
「一海兄さんっ……!」
「お前、いつまで一人でいるつもりだよ!? お前言ったよな、俺と藍里に認識されてた事が嬉しいって、だったら何で、お前の瞳に俺達は映らないんだよ!」
「……え……」
「……すぐには無理なのは、解ってる。でもさ……今、傍にいる存在(おれたち)までいない事にするなよ……」

 真っ直ぐに朱里を見つめてくる、竜城の瞳。その瞳の中に映る、自分自身の姿。竜城や藍里をいない事になんて、出来ない。けれど……朱里がしている事は、二人の存在を無視している事だったのだろうか。

「朱里。……そろそろ味方がいる事に慣れても良いんじゃないか?」
「味方?」
「池上も藍里も、お前を裏切って離れる事はないって、さ」

 一海のその言葉に、竜城が、いつの間にかそばに来ていた藍里が「もちろん!」と力強く答えてくれて、朱里は胸に広がる温かな思いを止める事が出来なかった。

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