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拍手SS 執事様のお気に入り 「その肩に背負うもの」

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2013年 9月 携帯用SS
執事様のお気に入り 伯王×良



「まだまだ暑いね~」

 立秋を過ぎたとは言え、9月に入ったばかりの今は残暑が厳しい。

「段々日は短くなって来てるけどな。って、氷村?」

 並んで歩いていたはずなのに、いつの間にか彼女の姿は隣になく、視線を巡らせれば、特徴ある看板の店の前でお金を払っていた。

「お前な……急にいなくなるな!」
「あ、ごめん。あんまり暑いから食べたくなっちゃって……」
「はいよ、イチゴとブルーハワイお待たせ」
「ありがとうございます! はい伯王、どっちがいい?」

 彼女の両手には、色違いのかき氷が一つずつ。しっかり練乳までかかっているのは、伯王の甘い物好きを知っているからか。

「ほら早く、溶けちゃう」
「……じゃ、イチゴ」
「はいっ」

 満面の笑みで差し出されるかき氷を受け取れば、熱の溜まった指先をどんどん冷やしてくれる。
 歩きながら食べるのはちょっとだけ行儀が悪いけれど、狭い道路に立ち止まるのも迷惑になるからと、二人は歩きだす。

「美味しい~♪ 暑い時はやっぱりアイスとかき氷だよね~。あと、そうめんと冷し中華!」
「見事に食べ物ばかりだな」
「いいのー!」

 喉の奥で伯王が笑えば、良も開き直っているらしく、上機嫌でかき氷を食べている。

「まぁ、暑さ寒さも彼岸まで、って言うからな。もう少しの辛抱だろ」
「あ、そうだった。伯王、私お彼岸の土日、家に帰るからね」
「何かあったのか?」
「ううん、特に何かがあるわけじゃなくて、おはぎ作るの」

 おはぎ? と一瞬首を傾げ、すぐに思い出す。牡丹餅の事だ。

「毎年おばあちゃんが作ってるんだけど、そろそろ私も覚えたいし。だから今年から、手伝おうと思って」

 少しでも祖父母の負担を減らそうとしているのだろうか。彼女に残された、唯一の祖父母の助けになろうとするその姿は、時折伯王よりも大人びて見える。
 甘える親がいない分、良はその華奢な双肩に、多分たくさんのものを抱えている。
 ……良を、守れるだけの力が、今の伯王にはまだない。神澤の後継ぎとしてはまだまだひよっ子だという自覚もあるから、未熟な己を痛感する。だから、今は。

「……俺も行っていいか?」
「え? 一人でも大丈夫だよ?」
「その言葉は一番信用出来ないの、知ってるか? 氷村」
「……反論できない……」

 何か伯王、意地悪だよ? と、彼女は言葉とは裏腹に、嬉しそうに笑っていた。

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