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拍手SS 暁のヨナ 「雨の日」

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拍手SSの再掲です。

2013年 8月 携帯用SS
暁のヨナ ヨナ一行


「雨、すごいわね」
「ですね……。通り雨ならすぐ止むと思うんですけど」

 バチバチと窓を叩く雨音。ゴォッと吹き荒れる風。まるで大嵐が来ているかのような天気。
運良く宿に泊まれたから良かったものの、ついさっきまで晴れていたから野宿をするつもりだった一行には、突然の大嵐は痛い出費だ。

「さすがにこの天気じゃ、天幕も壊れる可能性が高いからね」

 どれだけ頑丈に丸太と布を紐で繋いでも、自然の力には敵わない。

「雷まで鳴り始めたね」

 濡れた外套をキジャから奪い取りながら、ジェハが薄く笑う。キジャの龍の腕で絞られては、外套はボロボロになる事必至だ。

「ヨナ、寒くない?」
「大丈夫。それほど濡れなかったもの」

 借りた部屋でユンは湯を沸かし、器に蜂蜜を入れて、それに少しだけ生姜を落とす。体を温めるにはこれがいい。

「それよりハクよ、私を庇っていたから濡れたでしょう?」
「姫さんとは鍛え方が違うんで平気ですよ」

 そう、ヨナがほぼ濡れずに済んだのは、ハクがヨナを庇って雨に打たれてくれたからでもある。今は油紙に包まれていた服に着替えてさっぱりしているけれど、髪からはまだ雫が滴り落ちている。

「もうっ、だからって髪濡れたままじゃ風邪引くわ」
「って、姫さん何を……っ」

 ぐいっ、と服の袖を掴まれて、不意打ちにハクはたたらを踏む。導かれるままに連れて行かれたのは二つある寝台の内の一つ。

「はい、座って」
「は……ちょ、姫さん!?」

 ハクを無理矢理寝台の端に座らせて、ヨナ自身は寝台の上へ。そしてハクの背後に周り、手に持っていた布でがしがしとハクの頭を拭い始めた。

「姫さん、自分で出来ますって……」
「私のせいで濡れたんだから、一つぐらい何かさせて。ほら、頭動かさないの」

 まるで頭皮マッサージをしているかのような微妙な感覚。いや、どれぐらいの力を入れて良いのか解らないのか、段々ハクは、くすぐったい感覚に襲われてくる。

(何かして貰うなら、別の事の方が……)

 無意識にそこまで考えて、ヨナの行動を興味深そうに、ハク以外がじっと見ている視線に気付いた。

「あー、いいなぁハク。ヨナちゃん、僕も」
「そなたはそれほど濡れてないではないか」
「じゃあゼノが乾かしてあげるー」
「え、それはちょっと……」
「……アオも濡れてる」
「ほら、じゃれてないで飲んで温まる!」

 騒がしい室内に、ハクはヨナと二人きりでなくて良かったと、そっと心中で安堵した。

暁のヨナ 目次

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