Mirage

オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

1/30 プリムラジュリアン 「運命をひらく」

拍手SS Index
月別一覧(1月)へ 作品別一覧(1月)

拍手SSの再掲です。

1/30 プリムラジュリアン 「運命をひらく」
暁のヨナ ハク×ヨナ



「もう、大丈夫ですね」
「ハク? 何を言ってるの」

 何が大丈夫だというのだろう。首を傾げていると、ハクの姿にピシピシとヒビが入っていく。

「俺が、傍にいなくても」
「え……」

 告げられた言葉を信じたくなくて、ヨナは一瞬言葉を失った。その間にも、ハクの体はまるで精巧な人形であるかのように、細かくひび割れて行く。

「こうなる運命だと、言われたでしょう?」

 いつか、イクスに告げられた。あのまま二人で逃げ続ける道を選んだら、ハクは死ぬことになると。

(でも、そんな運命を切り開くために)

 キジャを、シンアを、ジェハを、ゼノを。ユンと、ハクと一緒に探していたのに。

(それだけでは、ダメだったの?)

 このまま、ハクを失うの────?

「嫌……。嫌よっ!」
「姫さん、俺はもう」

 ひび割れはどんどん細かくなって。少しでも触れれば、そのまま崩れ落ちてしまいそう。
 そう思ったのに、伸ばした指先は止まることなく。
 触れた瞬間、かろうじて保たれていたハクの姿は、あっという間に砂と化した。

「嘘、でしょ……ハク……」

 ただの山となった砂を、掌に掬い取っても。握り込んでももう、ハクの形には戻らない。

「許さないわよそんな事! 絶対、絶対に許さないから……っ!」

 力の限り叫んだら、目が覚めた。

「姫さん!? どうした!?」

 すごい叫び声が、と、天幕を覗き込むのは黒髪の……夢の中では今にもひび割れてしまいそうだった、ハク。

「ハ、ク……」
「……どうしました?」

 弱々しく震える手を、ハクの大きな手が包み込む。だけど、その温もりだけでは、足りない。

「抱き締めて……」
「……はい?」
「お願い……」
「寝ぼけてます? 姫さ」

 言葉が完全に終わる前に、ヨナはハクの胸元に抱きついた。トク、トク、と少し早い鼓動が聞こえる。その音に耳を澄ませていると、痛い程に強い力で抱き竦められた。

(大丈夫……。ハクは、生きてる……)

 壊れたり、しない。だって、ひび割れかけた腕ではヨナをこんなに強く抱きしめることは出来ない。

「……怖い夢でも、見ましたか」
「……ハクが、粉々に砕け散る夢……」

 それはまた、と、耳元でハクが笑う。
 その声が優しくて、穏やかな鼓動が心地好くて。抱きしめてくれる温もりが温かくて。ヨナはまた眠りについた。


暁のヨナ 目次

拍手SS Index
月別一覧(1月)へ 作品別一覧(1月)
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

琳架

Author:琳架

web拍手 by FC2

 ↑ 9/1変更 (全6種)
 桜涙・雨弓・明陽
 図書戦・LOVE SO LIFE・ヨナ
  ※携帯版が確認出来ないので、こちらに統合しました。

Twitter・SS専用アカウント→ @sakuraironoyoru

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

最新記事

検索フォーム

月別アーカイブ

西暦をクリックして下さい。

カウンター

FC2ブログランキング

ランキングに参加しています。

FC2Blog Ranking

右サイドメニュー

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。