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1/25 ビワ 「内気」

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1/25 ビワ 「内気」
暁のヨナ ハク×ヨナ



「ふふふ、姫様はスウォン様の前にいらっしゃると、とても内気になってしまいますわね」

 癖のある赤い髪を結い上げてくれる女官が、スウォンに会うとどぎまぎして上手く話せないヨナの姿を目の当たりにした時の言葉だ。

「こ、これでも精一杯なのよ? でも、スウォンったら全然気付いてくれないし……」
「あののほほん坊ちゃんにそれを期待するだけ無駄ってもんですよ、姫さん」

 一応身支度中という事で、部屋の外の扉に寄りかかっているハクの声が聞こえる。

「どうすれば気付いてもらえるかしら……」
「正面からぶつかって行きゃいいでしょーが」
「そうやってまた、ハクは意地悪言うんだから……」

 言えるものならとっくに言っている。だけど、想いを告げて今の関係が壊れるのが怖い。スウォンと、ハクと、ずっと三人でいたいと思うヨナは、まだ子供なのだろうか。

「……懐かしい夢、見ちゃった……」

 遠い過去の夢。何も憂う事もなく、ただ日々を生きていただけの頃の、穏やかな記憶。
 今のヨナには、内気だなんて言葉は似合わない。

(だって、それでは何も守れない)

 父が残した国も、……ハクも。
 起き上がり、隣で眠るハクの顔に、そっと指を伸ばしてみる。

「……守りたいの。守れるだけの力が、欲しい」

 この存在を、失う事なんて考えられない。考えたくもない。

「……何やってんですか」
「っ」

 伸ばした指先が、あっという間に捕らえられる。片目だけ開いたハクの顔は、どことなく寝ぼけているようなのに、ハクの指先はそっとヨナの手の甲をなぞる。

「は、ハク、何を……っ」

 さわさわと走る感覚に思わず身を竦めると同時に、枕代わりにしていたハクの右腕が、ヨナの体をぐっと引いた。

「きゃっ!?」
「襲いますよ、って言ったはずですが?」

 両腕で抱き締められた事に気付いた時には、既に首筋に顔が埋められていた。唇が肌に触れて、ヨナは体を震わせる。

「ちょ、ハク、やめて……」

 逃れようにも、抱き締めている腕はとても強くて、ヨナの力ではどうやっても振り解けそうにない。

「……姫さん」
「な、なに……」
「嫌がらないんですか?」

 嫌がる? 違う、嫌がると言うよりも、ただ……。ただ、心臓の鼓動が早いだけ。

「……期待させるような事、しないで下さいね」

 切なげな声と、淋しげな瞳の理由が解らぬまま、ヨナはハクの腕から解放された。

暁のヨナ 目次

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