Mirage

オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

1/22 グズマニア 「理想の夫婦」

拍手SS Index
月別一覧(1月)へ 作品別一覧(1月)

拍手SSの再掲です。

1/22 グズマニア 「理想の夫婦」
LOVE SO LIFE 政二×詩春


「楽しかった?」
「はい!」

 静岡から帰る電車の中、政二は詩春に聞いた。飽きずに窓の外を眺めている双子から視線を外した詩春は、屈託なく笑う。

「竹川さんて、いい方達ですね」
「ん?」
「あんな方々に育てられた二人のママは、きっと優しい方だったんだろうなぁ……って、想像しちゃいました」

 政二が美咲と会ったのは、数えるほどしかない。それでも、あの穏やかな雰囲気は、ご両親にそっくりだった。

「……うん。優しい人だったよ」

 松永家の家庭崩壊以前を知っている兄は、美咲といると幸せそうだった。美咲が亡くなるまでは、漠然と、歩実と結婚したら、こんな夫婦になれるといいと思っていた。
 だけど今、政二は敢えて未来を考えないようにしている。……考えようとすると、詩春が隣にいる未来を想像してしまうから。
 しかしそれを、叶えてはいけないことも解っている。詩春には未来がある、それを政二が奪うことは、……出来ない。
 だから、想いを告げるつもりもない。双子を竹川夫妻に預けたら、会うこともきっとない。
 そうすれば、いつかこの想いも消えて────。

「ああいうご夫婦って、憧れます」

 施設で育つ子供の中には、親の離婚や親からの虐待を受けた子もいる。確かに竹川夫妻は、そんなものとは無縁だろう。

「私の両親も、生きていたら……」

 彼女の父と母も生きていたなら。そして、三人でいられたなら。竹川夫妻のような理想の夫婦に愛されて、穏やかな家庭の中で詩春も育っただろうか。
 そんな、有り得ぬ事を思ったのか、詩春は言葉を途切れさせた。

「……中村さんなら、ああいう家庭、作れると思うよ」

 例え僅かな間でも、愛されて育った詩春なら、きっと穏やかで優しい家庭を作れる。そう告げると、彼女の頬がみるみるうちに赤くなった。

「……え」

 ふわりと笑ってくれるかと思いきや、意外な反応に、政二は思わず彼女を見つめた。
 頬が赤くなっていることを自覚しているのか、詩春は顔を隠すように両手を頬に当てた。

「大丈夫?」
「だ、大丈夫、です!」

 政二は知らない。ああいう家庭を作れると言われた詩春が想像した『家庭』の中で、詩春の側には彼がいたことを。
 詩春は知らない。政二の言葉で頬を染めた彼女が、今の彼の目にどう映ったかを。
 期待してしまう言葉。告げてはいけない言葉。そのたった一言を、口にする日は訪れるのだろうか。

LOVE SO LIFE 目次

拍手SS Index
月別一覧(1月)へ 作品別一覧(1月)
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

琳架

Author:琳架

web拍手 by FC2

 ↑ 9/1変更 (全6種)
 桜涙・雨弓・明陽
 図書戦・LOVE SO LIFE・ヨナ
  ※携帯版が確認出来ないので、こちらに統合しました。

Twitter・SS専用アカウント→ @sakuraironoyoru

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

カレンダー

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

最新記事

検索フォーム

月別アーカイブ

西暦をクリックして下さい。

カウンター

FC2ブログランキング

ランキングに参加しています。

FC2Blog Ranking

右サイドメニュー

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。