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1/21 カーネーション<ピンク> 「熱愛の告白」

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拍手SSの再掲です。

1/21 カーネーション<ピンク> 「熱愛の告白」
夢界異邦人 凜×紅美


「しっかし……何でこんなに花だらけなんだ?」

 夢界の中に入った途端、むせ返るような花の匂い。色とりどりの花がさくその庭は、今回の現実と夢界を繋ぐ扉だ。

「ピンクのカーネーション、赤い薔薇……見事にばらばらだな」
「でも、綺麗だわ」

 一緒に夢界にやって来た紅美が、一輪のカーネーションの香りを楽しむように鼻を寄せる。

「ね、カーネーションの花言葉、知ってる?」
「俺が知ってると思うか?」

 おどけるように凜が肩を竦めれば、紅美は「それもそうね」と笑った。

「ピンクのカーネーションの花言葉は、『熱愛の告白』。言えない想いが花となって、ここに咲いてるのかも知れないわ……」
「……言えない想いを花言葉に託す、か……」

 患者は、18歳の女性。過去に虐待を受け、精神的なショックから言葉が話せなくなった。それだけならば九条に任せればいいのだが、いつからか昏睡状態に陥ってしまって、九条では治療が出来ない。だから凜に依頼が回ってきたのだが……。

「で? 何でお前まで来てるんだ?」
「何言ってんのよ、まだ本調子じゃないくせに」
「本調子じゃなかったら、仕事出来ないのは解ってるだろ」

 自分を保てるほどの精神状態でなければ、夢界に入れないのだから。そう告げると、紅美はフイッとそっぽを向いた。

「い、いいでしょ別に!」

 紅美はただ、凜が心配だっただけだ。けれどそれを素直に伝えられる紅美ではないし、その気持ちを察する事が出来る凜ではない。

「ま、いいけど。とりあえず行くか」

 花だらけでどうなっているかは解らないけれど、とにかくこの世界を歩いてみなければ。

「あ、ちょっと待ちなさいよ、凜……とっ」
「紅美? ……何してんだ?」
「花、踏み潰しちゃ可哀相でしょ?」

 どうやら、敷き詰められている花をなるべく踏み潰さないように歩こうとして、よろけたらしい。
 微笑む彼女には、いつもの強気な紅美の面影は微塵もない。凛と同じ紫色の瞳が、柔らかく煌めく。

「ほら」
「え」

 凜は何気なく、紅美に向かって手を差し出した。

「掴まれ。ゆっくり歩くから」
「と、当然よ!」

 差し出した手に、華奢な手が重なる。温かな感覚を、指先で包み込む。
 澪の夢界の中、過去よりも、幻想よりも、夢よりも。何よりも大切だと思った、凜の現実。
 その気持ちを、言葉にする代わりに。凜は繋いだ手に力を込めた。

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