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1/20 赤つばき 「優美さ」

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拍手SSの再掲です。

1/20 赤つばき 「優美さ」
Wisteria Memory 高征+紫乃



「中庭の藤は、まだまだ咲かないねー」
「向こうより、こっちの方が寒いからなぁ」

 思いがけぬ再会をした4月の末。高征と紫乃は窓から見える、未だ蕾さえつけぬ藤の木を上から眺めていた。

「そういえば、おばあさんが藤の木を好きだって言ってた理由、覚えてる?」
「いや? っていうか、理由なんてあったのか?」

 たかくんがいた時に聞いたはずなんだけど、と紫乃が前置きして話し始める。

「あのね、日本舞踊に『藤娘』っていう演目があるの。それに一目惚れしたんだって」
「ははっ、結構単純な理由だったんだ? その演目ってのは見た事無いけど」

 というか、高征は伝統芸能自体に興味がない。だから、日舞というものがどういうものなのかも解っていない。

「どういう話なんだ?」
「話自体は私もよく解ってないんだけど……でも、すっごく綺麗だったよ。優美で可憐な藤の花の精霊そのものって感じで」

 藤の花房を持ち、優雅に、時に妖艶に、時に可憐に踊る姿は、ただ見ているだけでも紫乃の心に何かを残していった。

「藤そのものが正に優美だもんな~。初めて見た時、あの紫色がすっげ綺麗だったの覚えてる」

 私も、と紫乃の声が同意を示す。
 あの日、二人が出会った藤の木は、ここにあるよりももっと大きくて立派だった。
 だからこそ、花穂も大きく優美な様を見せていたし、無数に咲く小さな花は可憐と呼ぶに相応しくて。

「……もう少しで、また会えるな」
「うん」
「そいや、せっかく携帯番号教えてもらったのにかけてないな、俺」

 去年、翔真の家から帰る時に、走り書きのメモで携帯番号を教えて貰っていたのだが、高征と紫乃が携帯電話を持ち始めて、まだ一月も経っていない。

「私もまだなんだよねー。……いっそ翔真さん達にも再会した事言わないで、別々に連絡取ろっか」

 そう告げた紫乃の瞳は、悪戯を企んでいる子供のようで。それも楽しそうだと、高征は即座に賛成した。

「ま、とにかく行く日決めなくちゃな~。じゃないと翔真さん達も困らせるし」
「そうだねぇ。家族達の都合もあるし……」

 と、二人で顔をつきあわせ、紫乃が取り出した手帳で日にちを選んでいると、ガラリと教室の扉が開き、理人と結那が戻って来た。
 楽しそうに笑う高征と紫乃が、理人と結那に質問攻めに遭うのは、すぐ後の事。

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