Mirage

オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

Entries

1/19 マダガスカルジャスミン 「清らかな祈り」

拍手SS Index
月別一覧(1月)へ 作品別一覧(1月)

拍手SSの再掲です。

1/19 マダガスカルジャスミン 「清らかな祈り」
黄昏色の詠使い カインツ×イブマリー



 合宿所を抜け出したイブマリーは、夜の浜辺で一人佇み、星が輝く夜空を眺めていた。
 さく、と砂を踏む音が聞こえる。誰かなんて、振り向かなくても解る。好き好んでイブマリーの傍にやって来るのは、カインツだけだ。

「……綺麗だね」
「そうね」
「イブマリーは、夜が好きなのかい?」
「どうして?」

 隣に立つ彼の顔を見ぬままに問い掛ける。

「夜が好きだから、黒色名詠じゃなくて、夜色名詠にしたいのかと思って」
「……夜は、全てを覆い隠すから……」

 イブマリーが密かに感じている孤独も、カインツが隣にいて少しだけ熱を持つ頬も、夜色が隠してくれる。

「それに……星が綺麗だから」
「そっか」

 昼間も確かにそこにあるのに、太陽の光に負けてしまう星の輝き。透き通る、夜空。
 イブマリーが、どんなに馬鹿にされても嘲笑されても諦めないのは、この闇色の中でも懸命に、そして希望を灯すかのように瞬く光があるからだろうか。

(それでこそ、夜色名詠……って事なのかな)

 月と星の光の雫をも内包するのが、夜色だから。
 それに気づいたカインツが小さく笑ったのが解ったイブマリーは、ようやくその顔に視線を移した。

「何を笑っているのよ」
「ん? ボクも夜色、好きだなと思って」

 見上げて来るイブマリーから逃げるように顔を背け、カインツは夜空を見上げた。

「あ」

 一瞬、視界の端を横切ったような気がする。

「何よ?」
「流れ星……かな。あ、ほら」

 イブマリーがつられて夜空を見上げても、流れ星は見つからない。

「遅いよ、イブマリー」
「一瞬だもの、無理に決まってるじゃない」

 ちょっとだけ拗ねた声音が、何だか可愛く感じて、カインツは苦笑した。

「……祈っておくよ」
「何を?」
「この夜空に。キミが、夜色名詠を完成させられますように、って」
「……あなたの虹色名詠を願うのが先じゃないの?」

 カインツが目指す虹色と、イブマリーが目指す夜色。どちらも前例のない名詠式なのだから。

「自分の願いは傲慢になりそうだから。他人の事を祈った方が、効果ありそうじゃない?」
「……なら、私も祈っておくわ」

 傲慢さや邪な想いなど欠片もない、自分ではない人のための、清らかな祈り。
 イブマリーが望む、透き通った夜色の空に、どうか届きますように。

その他版権 目次

拍手SS Index
月別一覧(1月)へ 作品別一覧(1月)
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

琳架

Author:琳架

web拍手 by FC2

 ↑ 9/1変更 (全6種)
 桜涙・雨弓・明陽
 図書戦・LOVE SO LIFE・ヨナ
  ※携帯版が確認出来ないので、こちらに統合しました。

Twitter・SS専用アカウント→ @sakuraironoyoru

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

最新記事

検索フォーム

月別アーカイブ

西暦をクリックして下さい。

カウンター

FC2ブログランキング

ランキングに参加しています。

FC2Blog Ranking

右サイドメニュー

QRコード

QR