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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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頂き物 桜涙 「ハートが知ってる想い人」

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 今年も相互リンクさせて頂いている「空想 i 」の朱音さんが、お祝いにとSSを書いて下さいました! 今回は桜涙の三人です。
 翻弄される竜城くんをお楽しみ下さいませ(笑)
 ラストにSSS追加してます。


『青色のペンで好きな人の名前を書き、その紙をハート形に折り畳んで肌身離さず持っていれば、きっと両想いになれるでしょう』
 女子達の間で何故か大流行しているおまじない。……なんてくだらないんだろう。
 小中学生ならまだしも、現役高校生がこんなことでキャーキャー言うなよと呆れていたんだけど。

「お前もそれ、やってるんだな。くだらねぇ」
 休み時間中に俺の前の席に座り、身体だけをこちらに向けている藍里の手元に見つけたハート形の紙を指差しながら、自然と零れた溜め息。すると、白い頬が少しばかりむぅっと膨れた。
「そんな言い方しなくてもいいじゃない。流行ってるんだもん」
「女子は揃いも揃ってそう言うの好きだよな」
「朱里ちゃんだってやってるんだよ」
「…………は?」
 ぽんっと飛んで来た一言に、思わず聞き返すのも遅れがちになってしまう。
 もっと綺麗なハートにしようとしているのか、指先で折り目を何度もなぞりながら、更にこんなことを言い放ったんだ。
「朱里ちゃんはね、竜城ちゃんの名前を書いてたよ。あ、でも、もう一人誰かの名前も書いていたっけ」
 落ち着きがあって、大人っぽい朱里が流行に乗っているだけでも十分に驚くのに。
 俺の名前を書いていたと言うことは、好きってことか……? い、いや、まさか! そうであれば嬉しいけど、でも、なぁ。
 と言うか、もう一人って誰の名前を書いていたんだろう。東堂先生とか? それとも同じ学年の男子かな。
 退院し、自宅療養も終えた彼女にとって、世界は以前よりも明るく見えているはず。そうなると、新たな感情として恋心が生まれてもおかしくはない。
 ……そう思ってはみるけれど、何だかつまらない。むしろ不愉快だ。

「眉間にしわが寄ってるよ。怖い顔の竜城ちゃーん」
「うるさいな」
 一体誰に想いを寄せているんだろう。俺の知っている男か? 知りたい。でも本人の口から聞くのは怖い気がする。
 眉間を突いてくる人差し指を掴まえて、
「あ、あのさ、朱里は俺と誰の名前を書いていたんだ?」
 もう片方の手で頬杖を突きながらぶっきらぼうに、そして何気無さを漂わせて問うたはずなのに、質問を受けた彼女はにへらっと笑う。
「竜城ちゃんってば、やきもちを妬いてるの!? ねぇ、そうなの?」
「ち、違うって! そんなのじゃないから!」
 目をらんらんと輝かせて身を乗り出して聞いてくるので、そっぽを向いて好奇の視線から逃れよう。それでも頬が熱を持ったのは自覚してしまった。

 顔は瓜二つなのに、性格は全然違う二人。
 そして俺は子供の頃からずっと一緒にいる藍里よりも朱里に心惹かれた……んじゃない! 彼女は無理をしがちだから、気に掛かるだけだ。そうだとも!


 何だかもやもやと頭にもたげる悩みを抱えながらの授業は全く集中出来なくて。ようやく鳴り響いた六限目の授業終了のチャイムが聞こえると同時に、大きく息を吐き出す。
「私は掃除当番だから、先に朱里ちゃんのクラスへ行っててね」
「おー」
 一日の学習から解放された生徒達で騒がしい廊下を歩き、朱里のクラスへと向かおう。
 半分開いている扉から席に座っている姿を見つけ、呼び掛けようとしたけれど言葉が出ない。何故なら、一人の男子と親しげに話をしていたから。
 柔らかな笑みで応じているところからして、もしかしてあいつか……? あいつが、朱里の想う人なのか?
 睨み付けるような強い視線に気付いたのか、ふと俺の方を見た男子は鞄を肩に掛けて、朱里に軽く手を振った。
「それじゃ、オレはそろそろ帰るわ。仁科、バイバイ」
「あ、うん。さよなら」
 俺の真横を通り過ぎる時に再度睨み付けてみたけれど、とても軽そうな印象しか持てないような奴で。
 誰がどう考えても、真面目な朱里にこんな男は釣り合わないだろ。なのに、どうしてこんなのが良いんだよ。
「竜城、ちょっと待ってね。今日は日直だったから日誌を書いているの」
 発散しようの無い嫉妬から始まる怒りを抑え込みながら、ペンを握る白くて細い指先が奏でた名前は、本当にあいつだったんだろうかと考える。

「……あのさ、さっきの誰?」
「クラスメイトの子よ? 名前は確か、西谷くんだったかな。彼は昨日が日直だったらしくて、私に書き方を教えてくれたのよ」
「それだけか? 好きとかではないのか?」
 へぇ、驚いて呆気に取られる表情は藍里と変わらないんだ。……なんて思っている場合じゃなくて!
 どうして直球で聞いてしまったんだ!? 自分で自分に驚愕してしまう。
「あの、違うんだ。ほら、おまじないが流行ってるだろ? そ、それで藍里が朱里もやってるって言ってたから!」
「そうなの。藍里に教えてもらって、やってみたのよ」
 慌てる俺に反して、彼女は何てことは無いと言った様子で鞄からハート形の紙を取り出し、開きにかかる。思いがけず、あっさりと知れそうになる答え。

 誰の名前が書いてある? 西谷か? もしくは勝ち目が無いような相手だったらどうする?
 うわ、見たくない。でも見たい……!
 紙が擦れる軽い音がして、恐々と細めた目に映ったのは、綺麗な字で書かれた俺の名前と――

「仁科……藍里?」
「あーっ、朱里ちゃん! どうしてハートを開いちゃったの!?」
 タイミング良く聞こえたのは、まさに書かれていた張本人の大声。半分笑っている顔からして、悪戯がばれてしまったと思っているに違いない。
「もう一人の名前って、お前じゃないか!」
「あはは、ごめんね。竜城ちゃんがおまじないを馬鹿にするから、ちょっとからかってみたの」
「お前なぁっ……!」
 見事に踊らされたことが恥ずかしいやら腹立たしいやら。一人で勝手に想像して、やきもちを妬いていたなんてな。
 安心したのも束の間、藍里が続けた言葉が朱里の笑顔を暗くさせる。
「だけどこのおまじないはね、一旦折りたたんだ紙を開いたら効果が無くなるって聞いたよ」
「え? じゃあ、竜城と藍里に想いは伝わらないんだ……」
 しょせんはどうってことはないおまじない。想いが通じようが通じまいが、おまじないが一役買ったとは思えない。
 そう思ってはいても、今回の場合は簡単に聞き逃せない。だって、朱里の悲しそうな表情を拭いたいし、俺自身も自惚れたい。
「朱里の想いはもう藍里にも俺にも届けてくれてるじゃないか。おまじないなんかに頼らなくても、俺らはそれぞれに両想いだろ?」
 こう言う台詞を照れることなく言える男であれば良かったんだけど、少しずつ熱くなる頬を意識する。
 まさか俺がこんなことを言うとは思っていなかったらしい二人は、瓜二つの顔をこれまたそっくりにきょとんとさせて固まっていた。そして、数秒後にはにっこりと笑うところまで一緒なんだ。
「竜城ちゃん、格好良い! ナンパとかするのが上手な人みたいだったよ」
「何だよ、それ! 褒めてるのか茶化してるのかどっちだよ!」
「どっちもだよー」
「竜城、嬉しい言葉をありがとう」
 明るい笑い声をあげる藍里と怒ったふりをする俺のやり取りを見て、頬を染めて笑う朱里が可愛くて。
 彼女の心もハート形に畳んだ紙のように、容易く開くことが出来ればいいのに。……いや、それは藍里と共にゆっくり開かせよう。
 咲き誇る花のように心が開いた時、おまじないと同じように俺達の名前が見えたなら、それ以上の幸せって無いと思うんだ。



※感想&お礼
 事前にお話を書いて頂けると聞いていたので、実は開設記念日が待ち遠しかった私です♪
 ではでは、感想行きます!

 藍里がやってるおまじない、有名なものなんでしょうか? 私はそういうものに疎いので……。それをくだらない、と言える竜城は、……うん、竜城だなぁ(苦笑)と思ったり。
 というか、藍里は一体誰の名前を書いてるんだろう? そっちの方が私は気になる(笑)
 それはさておき、朱里までがおまじないをやっていると聞いて驚く竜城。うん、私もビックリしました。しかも竜城の他にもう一人? 一海? とか思いましたよ私も。どういう事?? と頭を悩ませてしまいました。
 それから、うーん、もしかしたら……「恋愛感情での両想い」じゃないかも知れないな、と思いました。藍里は朱里におまじないの効果を伝える時に「恋愛感情抜き」で「人間として両想いになれる」ようなことを言ったんじゃないかな? と。そう藍里が伝えたのだとしたら、二人の名前を書くのも不自然じゃないし。

 無自覚に不愉快になってる竜城が可愛い(笑)それを解っててからかってる藍里も可愛い(笑)さあ、竜城が自覚するのはいつになる事やら♪(本当、いつになるんだろう……。 遠い目)

 放課後になって、朱里の教室へ向かう竜城が見た、知らない男子と話している朱里。朱里は髪を切った事で、以前より表情がよく見えるようになってます。その上柔らかく笑ってるんだったら竜城が相手を睨み付けるのも仕方ないですね♪ 朱里と話していた男の子は、朱音さんが書かれている「キ・セ・*」の登場人物だそうです。私はまだちゃんと読めていないので、どんな子なのか解っていないのですけれど……そんなに軽い印象なんですか、朱音さん(笑)

 竜城の問いかけに、躊躇いもなくハートの折り紙を開いちゃう朱里。藍里ったら、ちゃんと教えなかったのね、と呆れてしまいました。でも朱里の事だから、竜城が不安そうにしていたら効果の有る無しを知ったとしても、きっと開いて中を見せただろうな、と思います。
 そして書いてあったのは竜城と藍里の名前、というオチ(笑)藍里にからかわれていたと知った竜城の反応がもう、笑えました。ってか藍里、何か竜城をからかうのに楽しみを見出してないか? ……いえ、私が書いてもそうですけど、きっと(苦笑)
 でも、最後はちょっと格好良かったですね、竜城。そう、そばにいるようになってから、無表情だった朱里にも少しずつ色んな表情が増えていて。少しずつ、竜城や藍里にもその表情から想いが読み取れるようになって来たから。
 そして、竜城も、藍里も、そんな朱里にちゃんと想いを返すようになったから。だから、「両想い」かな、と思いました。
 しっかし藍里ったら、竜城をまるでナンパ師か何かのように……雰囲気ぶちこわしだなぁ、もう(笑)

 けれど、こうしてずっとずっと、三人でいられたらいいね。朱里の凍った心を少しずつ溶かして、いつか花が咲いたなら……たくさんの幸せに囲まれていると良いな。と思いました。

 朱音さん、素敵なSSをありがとうございました! これからもどうぞよろしくお願い致します♪

 以下、おまけSSです。

「あ~、つっかれた」
 朱里と藍里と別れ、自宅に帰り着いた竜城は、制服の上着をバサリと椅子の背もたれにかけると、歩みを止めずにベッドの上へと沈んだ。
(ったく、藍里のヤツ……)
 一日、藍里に振り回された気がする。彼女は朱里と過ごすようになってから、前にも増して元気になった。……が。
(俺をからかって遊ぶ元気はなくて良いっつの)
 はぁ、と深い溜息をつく。
 朱里のハートに書かれた名前は、竜城と藍里だった。朱里の教室で見た西谷という男子生徒の名前でもなく、一海の名前でもなく。
 ……それが、嬉しいと思うのは、嫉妬が誤解だと解ったからこそなのだろうか。
 ふと、携帯電話が鳴り響く。この曲は……と、多少うんざりしながら、鞄の中に入っていた携帯電話を取りだして、耳に当てた。何しろ、出なければ出ないで大騒ぎするのが相手だからだ。
「何だよ、藍里」
『あー、何その言い方! これが朱里ちゃんだったら絶対そんな言い方しないくせにー』
「当たり前だろ。ったく、人をからかいやがって」
『だって竜城ちゃん、意地悪言うんだもん。……でも、ちょっとやりすぎたかなーって思ったからこうして電話したのに。そんな言い方するなら教えてあげないっ』
 恐らく目の前にいたのなら、ぷいっと横を向いて拗ねているだろう。しっかり頬まで膨らませて。
「別にいーよ、どーせろくな事じゃないんだろーし」
『ふーん、そっか。朱里ちゃんが真っ先に書いたのが竜城ちゃんの名前だったって事、嬉しくないんだー?』
「……え?」
『そっかそっか、じゃあ朱里ちゃんに報告してこようっと♪』
「ちょ、こら待て藍里っ……! ……切りやがった」
 かけ直しても繋がらない。電源まで切ってしまったようである。
「……朱里が、真っ先に書いたのが俺の名前……?」
 真っ白い折り紙を見て、あの白い指先が持つペンが書いたのは――――竜城の名前。
 嬉しい、と思うと同時に、藍里の言葉を思い出して、竜城は慌てて携帯電話を操作し始めた。
 数回のコール音の後、穏やかな声に被せるように、竜城は勢い込んで告げた。
「嬉しくないわけじゃないからなっ!!」
『た、竜城……? どうしたの突然? 何かあったの?』
「へ? いや、だってほら藍里が今、朱里のところに」
『藍里なら自分の部屋よ?』
「……お前は?」
『リビングにいるけれど……藍里がどうかしたの?』
 どうやら、また藍里にからかわれたようだ。朱里に報告すると言う事がそもそも冗談だったのだろう。
「いや……うん、何でもない……」
 一気に脱力感が襲ってくる。朱里にその話が伝わっていない事に安堵するも、藍里に対する怒りがふつふつと湧いてきて。
「朱里。藍里に、明日覚悟しとけって言っといて」
『? うん、解った』
「で、明日はちょっと早めに迎えに行くから」
『何かあるの?』
「うん、ちょっとな。……じゃ、また明日」
『うん、また明日、ね』
 穏やかな声音が耳をくすぐり、その余韻に心地よさを感じながら竜城は通話を切った。そして。
(置き去りにしてやる……!)
 朝が弱い藍里はなかなか起きられない。その隙を突いて、朱里と先に学校へ行ってしまおう。
 朱里が大好きな藍里には、堪える報復である事は間違いない、はず、である。



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