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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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1/06 ウメ 「澄んだ心」

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拍手SSの再掲です。

1/06 ウメ 「澄んだ心」
LOVE SO LIFE 葵+茜 (未来 16歳の二人)



 茜が自分の部屋に戻ろうとした時、隣にある葵の部屋のドアが少し開いているのに気付いた。
 そっと覗いてみると、そこには机に向かっている葵の姿。その表情は、とても、とても優しくて、柔らかくて。何を見ているのか気になった茜は、そっと足音を忍ばせて中に入った。

「何見てるの? 葵」
「うわっ!?」

 突然声をかけられてびくりと体を震わせた葵だが、そこのにいたのが茜と知って、途端に体の強ばりは解けた。

「茜……入る時はノックぐらいしてっていつも言ってるよね」
「女の子みたいな事言わないの。何よ、見られちゃまずい物でも見てたわけ?」
「違うよ。……懐かしいもの見つけたんだ」

 ほら、と回転椅子ごと体をずらす。茜の視線が真っ直ぐに机の上に向かっていく。
 怪訝な顔は徐々に解けていき、そして先程の葵と同じように、優しい笑顔になった。

「うわぁ……なっつかしー」
「もう10年以上も前なんだね」

 葵が机の上に広げていたのは、かつて大好きだった少女が全部手作りで贈ってくれたアルバムだった。さすがに年月には勝てず、ところどころ剥がれかけたり変色したりはしているけれど、それでも、朧気ながらも当時の事は思い出せる。

「……しはるたん、だね」
「うん」

 アルバムの中には、3歳の茜と葵、そして若かりし頃の政二と、高校生の詩春がたくさん写っている。

「ライオン、見られなかったんだよね」
「そうそう。何でライオンに固執してたんだろうって、今は思っちゃうけど」

 次から次へとページをめくれば、ひらがなで書かれている文字の数々。それは彼女が時間を惜しまず、丁寧に思い出を作ってくれた証。
 彼女の優しさを、澄んだ心を思い出せば、二人は確かに愛されていたと実感出来る。

「……今の私達と同い年、だったんだよね、『しはるたん』は」
「今、ベビーシッターやれって言われても、きっと無理なのは断言出来るよ」

 茜と葵は、守られて生きてきた。実の父がいなくなっても政二がいてくれたし、母方の両親もいてくれた。けれど、詩春には、誰も……。
 少しだけ過去の彼女に思いを馳せていると、階下から双子を呼ぶ声が聞こえた。

「茜、葵! 夕飯だぞー」
「「はーい、今行くー!」」

 椅子から立ち上がった葵は、アルバムをそっと閉じ。茜はその表紙をそっと指先で撫でてから。
 二人は肩を並べて階段を下りて行った。


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