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1/04 シクラメン 「恥ずかしがり」

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拍手SSの再掲です。

1/04 シクラメン 「恥ずかしがり」
影の王国 月哉×瞳



「ひとみ」

 いつもより、柔らかく耳に届く声。ああ、もう夜だから────。

「月哉。ごめんなさい、待たせた?」
「いや、大丈夫。行こうか」

 差し出された手を、少しだけ躊躇いながらぎゅっと握る。握り返してくれるのが嬉しいのは、瞳だけの秘密だ。

「あっ、瞳、渡会! こっちこっち!」
「……また買い込んだわね、カナ」
「カンパが集まったからね~。最後の夏の思い出、パーッと派手にやらなくちゃ!」

 高校最後の夏休み。有志で集まって花火大会をしようと言い出したのは誰だったか。場所は学校の校庭、お目付け役に担任が妻子を連れて来てくれている。

「よぉーしっ、始めるぞーっ!」

 一人の男子の声を合図に、まずは打ち上げ花火が空を彩った。次々に咲く光の花の向こうには、待宵月が浮かんでいる。そしてそれを見上げる月哉の横顔は、影の王国の王子そのままの姿で……。

「目、赤くなってるよ」

 無意識に人見の力を使っていたことは、月哉にはお見通しだったらしい。左手で両目を塞がれて、瞳は笑った。

「大丈夫よ。飛葉が結界張ってくれてるんでしょ?」
「そうだけど、油断大敵だよ。まだ完全にイヤルドの統制下じゃないんだから」

 満月の夜に開く扉は、まだすべて管理させているわけではない。小さな月鬼達は隙間を縫って地上へと下りてくる。

「それに……」
「なぁに?」
「君が人見の力を使うと、……ちょっと居心地が悪いかな」

 塞がれていた両目から手が離れ、瞳は力を使わずに月哉を見た。

「え……どうして?」
「だから、その……ジッと見つめて来るから、さ……」
「あ……」

 心の奥までも見透かすかのような見つめ方は、人見の巫女が真実を見つめるから。人見の巫女にとっては自然な行動でも、見られている方は恥ずかしいのだろう。それに気づいて、瞳は慌てて視線を外した。

「ご、ごめんなさい」
「……目を閉じざるを得ないようにすればいいのかな」
「っ、それって……え?」

 どうやら月哉の呟きは、瞳にも聞こえていたらしい。ほんのり赤く染まった頬に、月哉は小さなキスを落とした。

「つ、つきや……っ?」

 ごまかすように一つ、咳ばらいをして。

「さ、僕達も花火やろうか」
「ちょ、もう月哉!」

 花火で盛り上がる中心に、月哉は先に足を向けた。

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