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1/03 センリョウ 「裕福」

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拍手SSの再掲です。

1/03 センリョウ 「裕福」
暁のヨナ ハク×ヨナ





 金の簪、高価な香、絹の衣。ヨナに与えられるものは、最高級が当たり前だった。それがどれだけの贅沢だったのか、今のヨナには身に染みて解る。

「私は、何の義務も果たしていなかったわ」

 そう、ハクにぽつりと呟いたら、彼は苦笑した。

「それが陛下の御望みでしたからね。姫を女王にとは、……仰りませんでしたし」

 覚えたのは舞や琴、女性として、姫としての嗜みだけだった。
 ヨナはあくまで王家の血を継ぐ為の姫。実際に国を動かすのはヨナではなく、ヨナの伴侶となる者のはずだった。

「私が姫でなければ……」

 己がどれだけ裕福であったかを省みて、国の為を、民の為を考えたかも知れない。男でありさえすれば……政を、真剣に考えられる立場にあったなら。

「もし姫さんが皇子だったら、それこそとっくに暗殺されてますよ」
「……母上のように?」
「ええ。まぁ、俺がいる限り、簡単に殺させやしませんが」
「あら、私が皇子でもハクは守ってくれるの?」
「当たり前です」

 例えヨナが皇子であったとしても、立場はスウォンと同じようなものだ。いつかスウォンに告げた言葉と同じだけの言葉を、ハクはヨナに捧げただろう。

「……簡単に殺させてたまるかよ」

 忠誠を誓う者にとって、主の存在は絶対だ。ヨナが姫であろうと皇子だろうと、自らの忠誠を捧げた相手を、みすみす死なせるわけには行かない。
 それは自分の矜持とも言える誓い。

「お姉ちゃん、お腹すいた……」

 ボロボロの服から覗く細い腕。枯木のような細さは、貧しい証拠。その少年の頭をそっと撫でて、ヨナは笑って「待ってね」と告げる。
 テジュンが持ってきてくれた僅かばかりの食料は既にない。残るは……。

 ヨナは弓を構え、矢を番え。狙いを定めて矢を放つ。
 空を駆けた一矢は、見事に鳥に命中し、どさりと地面に落下させた。

「ユンに料理してもらおうね」
「うん!」

 こんなやり方では根本的な解決にはならない。けれど今のヨナにはこれぐらいしか出来ない。
 裕福であることが、どれだけの幸せをもたらしてくれていたか……失ってから気づいた自分を恥じた。

「姫さん、弓うまくなったな」
「本当!?」
「もーちょっと腕力必要かもですが」
「が、頑張るわ」

────後悔よりも、今出来ることを────。


暁のヨナ 目次

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