Mirage

オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

12/29 オドントグロッサム 「特別の存在」

拍手SS Index
月別一覧(12月)へ 作品別一覧(12月)

拍手SSの再掲です。

12/29 オドントグロッサム 「特別の存在」
執事様のお気に入り 伯王×良


「今日はハーブティーにしてみたぞ」
「わ、いい香り~! えっと、確かこれって……カモミール!」
「正解」

 淡く漂うりんごのような香りの中、良はハーブの名前を当ててご満足のようだ。
 にこにこと満面の笑顔で、カモミールティーとチーズケーキを食べる良と、「恋人」という関係になって、一週間が経つけれど、とりあえず今は噂も立てられずに平穏に過ごしている。

「やっぱり、伯王のいれてくれたお茶は美味しいね」
「そうか?」
「うん!」

 熱めのお茶は、良の好みだ。長い時間を過ごす内に、自然に覚えてしまっていた彼女の嗜好。
 今さらながらに思う。良の専属になる事を決めたのは、彼女が窮地に陥っていたからという理由だけでは、きっとなかった。
 出逢った時から、変わったLクラス生だと思っていた。今まで伯王が『神澤』として関わって来た人間とは全然違う。『神澤』の名も気にしない彼女の傍は、居心地が良かった。
 自分の事よりも他人の事が優先で。流されるだけの優柔不断かと思えば、自分の意志はしっかりと持っていて。危なっかしくて、目が離せなくなっていて。
 伯王自身が、無意識に彼女の傍を望んでいたのだろうと思う。

(最初から、氷村は『特別』だったのかもしれないな)

 この学園の中で、『特別な存在』など作れないと思っていたし、作る気もなかった。ただ、自分の力だけでどこまで行けるかを試したくて、双星館に入学したのだから。
 そんな考えは、良と出逢った事ですっかり変わってしまったけれど。

「私だけのお茶って、本当に特別なんだよね……」
「氷村? どうした?」

 急に淋しげに呟いた良に驚いて、訊ねれば。

「勿体ないなぁ、って思って。こんなに美味しいお茶なら、みんなにも飲んでほしいなって思ったんだけど」
「けど?」
「伯王の、私だけの『特別』を、独り占めしたい自分もいるんだよ~」

 難しい顔をしながら唸る良の姿に、伯王は呆れたように笑い、そっと身を屈め、彼女の耳元に囁いた。

「俺の『特別』はお前だけなんだから、お前が喜べばそれでいいんだよ」
「……っ!」

 僅かに赤く染まった良の頬には気づかぬ振りをして、伯王はお茶のお変わりを用意し始めた。


執事様のお気に入り 目次

拍手SS Index
月別一覧(12月)へ 作品別一覧(12月)
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

琳架

Author:琳架

web拍手 by FC2

 ↑ 9/1変更 (全6種)
 桜涙・雨弓・明陽
 図書戦・LOVE SO LIFE・ヨナ
  ※携帯版が確認出来ないので、こちらに統合しました。

Twitter・SS専用アカウント→ @sakuraironoyoru

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

最新記事

検索フォーム

月別アーカイブ

西暦をクリックして下さい。

カウンター

FC2ブログランキング

ランキングに参加しています。

FC2Blog Ranking

右サイドメニュー

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。