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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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LOVE SO LIFE かけがえのない存在(ひと)

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花とゆめ10号のその後を勝手に妄想。
勿論、本誌の展開とは違うと思います。「想い、伝えて」ともちょっと違います。
苦情は一切受け付けません。
あくまでも二次創作であることをご理解頂き、それでも良い方のみ追記からどうぞ。




 いつも通りに茜と葵を保育所に迎えに行って、お風呂に入れて、寝かしつけて。それでも政二は、まだ帰って来ない。

(今日は遅くなるって、言ってなかったはずなんだけど……)

 静かになった家の中で、一人。まだ帰る時間までは間があるけれど、その時間をどう過ごせばいいのか、詩春は途端に解らなくなった。
 政二が連絡もなく遅くなる事は滅多にない。最近は彼も双子との時間を惜しんでいるのか、夜は必ず一緒にいる。そして詩春は、彼におやすみなさいと告げてから帰るのが当たり前になっていて……。

(淋しい……)

 ひとり。その事を突然強く意識して、体の中を小さな不安が駆け巡る。

『……会えなくなったら、淋しいよ? きっと』

 昼休み、梨生に言われた言葉が甦る。二人で、屋上でお弁当を食べていた時、不意に梨生が問いかけて来たのだ。詩春は政二に気持ちを伝えないのかと。

『茜ちゃんと葵くんがいなくなっちゃったら……松永さんと、今までのようには会えなくなるでしょう?』

 そう、ほぼ毎日顔を合わせていられる状況は無くなる。それは元から解っていたし、それでなくても社会人である彼は、本当ならとても忙しいはずで。茜と葵を預かっている、という大仕事が無くなってしまえば、今よりも更に忙しくなるだろうと思う。
 ただでさえ、高校生と社会人では生活自体が違うのだ。

『別にさ、松永さんが10年後って言ったからって……気持ちを伝えるくらいは良いんじゃないかな』
『でも、せっかく松永さんが言って下さったのに……』
『じゃあ詩春は、10年もずっと、松永さんに何も言わないでいるつもりなの?』

 梨生の言葉に、詩春は言葉を返せなかった。告白された時、葵が起き出してこなければきっと、その場で返事をし終わっていたのを思い出したのだ。
 それだけじゃない。傍にいればいる程、どんどん気持ちが膨らんでいく。それが解る。
 この気持ちを、10年という長い年月の中ずっと、心の中に秘めておくなんて……。

『淋しいのは、詩春だけじゃないと思うけどね』
『え……』
『松永さんだってきっと、詩春に会えなかったら淋しいんじゃないかなぁ……』

 気持ちが繋がってれば、淋しさの意味も違うものになるのではないかと、梨生は言ってくれたけれど。

 カチ、カチ、カチ。
 リビングに置かれている時計の秒針の音が、鼓動の音と一緒になって酷く耳につく。

「……っ」

 淋しい。離れたくない。茜とも、葵とも、政二とも。今、詩春を取り巻く誰一人、欠かすことなく傍にいて欲しい。
 そんな欲張りな事を考える自分に驚いていると、カチャリと玄関の鍵が外れる音が聞こえた。

(あ……っ)

 反射的に玄関へと歩き出せば、ネクタイを緩めながら歩いて来る政二を見つけて。

「お、お帰りなさい」
「ただいま、中村さん」

 優しい笑顔に、ホッとする。先程まで感じていた淋しさも、ゆるりと解けていくけれど。

(会えなく、なったら────)

 こんな表情を見ることは出来なくなる。遠く、手の届かぬ存在になってしまったら……それは、今の詩春にとってとても、

「────淋しい、です……」

 想いが、言葉となって零れ落ちた。

「え?」
「二人が、いなくなってしまったら。……松永さんとは、……約束しなければ会えない、なんて……」

 約束をすればきっと、会える。でも、想いを伝えないままの約束は、気が引けてしまう。互いの気持ち次第で、その約束の意味さえもまるで違うものになってしまうから。
 口実がなくても、……約束がなくても、会いたいと。会える関係でありたいと、強く願った。
 願いは、際限なく膨らんで……想いは、止められなくて。

「中村さん」

 紡ぐ言葉を封じるかのような低い声音が名を呼んで、詩春は俯いた。けれど、言葉は止めない。

「松永さんが、私の為を思って言って下さったことは、解っているつもりです……! でも、……私にとって松永さんはもう、……かけがえのない存在ひとで」

 最初は家族だと言われた事が嬉しかった。それを無くしたくないだけだと思っていた。
 今は違う。いて欲しいと願う。松永政二という、一人の男性に惹かれている。

「……10年後でなくては、ダメですか……?」
「え」
「私は。……私も……松永さんのことが、……好き、なんです……っ」

 震える手、震える体。10年待つと言ってくれた彼が、心を変えているとは思えなかったけれど、自分の気持ちを伝えることが、こんなに怖いとは思わなかった。
 早鐘を打つ鼓動が、うるさいくらいに耳に届く。

 俯く視界の中に、政二の足が見えた。

「……ごめん」

 言葉と共に、詩春の体は温かな腕に引き寄せられた。

「……10年、待つ気だったのは、嘘じゃないけど」

 頭上から届く、苦笑混じりの言葉。

「……中村さんの気持ちが聞けて、……嬉しい」

 嬉しい、と言ってくれた政二の顔が見たくて、詩春は彼の腕の中でそっと顔を上げた。が。

(ち、近い……っ!)

 思いがけずに互いの顔が近い距離にあって、詩春は慌てて視線を外して俯く。
 頬に、耳に、体中の熱が集まるかのような感覚。

「中村さん、顔上げて?」

 どこか楽しそうな穏やかな声と、宥めるように髪を撫でている手に導かれるように、詩春はゆっくりと仰向く。
 大きな、温かい手がほのかに朱に染まった詩春の頬を撫でる。肩を抱いている左腕の力が、僅かに強くなって。

「……目、閉じて」

 囁くように紡がれた言葉に、言われるがまま瞳を閉じた。ふ、と瞼に温かな温もりが触れて、手で覆われている方とは逆の頬にも触れて。
 ひとつ、ふたつ、と唇に啄むようなキスが舞い降りた。
 ただそれだけでも、詩春の心臓は壊れてしまいそうで怖くなるのに、逃げる事も避ける事も頭になくて。
 政二のコートを無意識に握ると、唇は離れて、力強く抱き締められた。

「……歯止め効くかな……」
「……え……?」
「いや、こっちの話」

 これから理性との戦いになるであろう政二の心の中など、今の詩春が気付くはずもなかった。




 10号を立ち読みしてから、何か衝動的に書きたくなって。これまた携帯で地味に作ってました。
 本誌の展開がさっぱり読めない~……。


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  • posted by
  • 2015.11/14 23:47分
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