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12/27 テッポウユリ 「純潔」

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拍手SSの再掲です。

12/27 テッポウユリ 「純潔」
桜涙 竜城+一海→朱里



 放課後、英語の教科委員であるのをいい事に、竜城は一海の雑用を手伝っていた。ついさっきまで朱里と藍里もいたのだが、コピーし忘れた部分を見つけ、二人は今頃印刷室だ。
 そして一海に、「最近、朱里はどうだ?」と聞かれた竜城は、先日朱里が一人で歩いていた時にナンパされかけたことを話した(11/10 ユーチャリス 清らかな心 参照)。

「はははっ、そりゃ大変だったなぁ」
「笑い事じゃないですよ。朱里の奴、ホントに無防備なんですから」

 はぁ、と竜城は溜息をつく。ぱちん、と鳴ったホチキスの音は、一海の忍び笑いに消された。

「ま、仕方ないだろ。ある意味純潔な奴だから。俗世に塗れることなく生きてきたようなものだし」
「あ、そっちの意味ですか……」
「ん? 何を想像したのかな、池上くん?」

 純潔と聞いて、別の意味を想像してしまった竜城に、一海はニッ、と口角を上げた。その表情を見て、わざとその言葉を選んだのだと気付いた竜城は、無愛想に言葉を返した。

「いえ、何でも」
「ちっ、つまらん」
「俺で遊ばないでください。……けど、何とかなりませんかね、朱里の無自覚」
「少しずつ覚えさせていくしかないと思うけどな。……あいつは多分、同じ年の中では誰よりも大人で、だけど俺達からすれば誰よりも子供だから」

 人との触れ合いがなかった分、朱里には偏りがある。時々、ものすごく達観しているかと思えば途端に幼くなる。だから竜城は、朱里を放って置けなくなるのだ。
 ……今までの事を棚に上げているのは解っているけれど。

「まぁ、これから人と関わって行けば覚えてくよ。……もう、朱里を一人にするつもりはないんだろ?」
「はい」
「即答だな」
「……正直に言えば、まだ少し怖いです。朱里に触れるのは……でも」

 決めたから。目覚めぬ朱里に願ったから。もう一度、朱里に向き合う事を。

「もう、逃げたくないから」

 朱里といる事で見える、自分の醜い心から、目を逸らさない。
 決意を宿した瞳で一海を見ると、一海はふっと笑った。

「? 何ですか?」
「いや、何も」

 この年頃の決意は、時に脆く、時に強く。竜城がどちらかは解らないけれど、若いからこそ口に出せるのだろうと一海は苦笑した。

「あ。帰ってきたみたいです」

 廊下を走る足音に気付いた竜城の言葉に、扉へと視線を移して。
 告げられるであろう言葉ただいまに返す言葉おかえりを、二人は唇に乗せた。


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