Mirage

オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

LOVE SO LIFE 想い、伝えて

LOVE SO LIFE 目次へ  二次創作Index

花とゆめ8号のその後を勝手に妄想。
勿論次号の本誌の展開とは違うと思います。
苦情は一切受け付けません。
あくまでも二次創作であることをご理解頂き、それでも良い方のみ追記からどうぞ。




「好きです」

 突然の言葉に、詩春は硬直した。手の中には、見るからに高そうな指輪の箱。
 真剣な政二の瞳から、……逃れたいのに逃れられない。
 見つめ合ったまま、数秒が過ぎ……。

「……え!?」

 ようやっと言葉の意味を理解した詩春は、瞬間的に顔に熱が集まるのを自覚した。それを見た政二は、伝わったことにホッとする。

「ま、松永さ……」
「すみません、突然。でももう、自分に言い聞かせるのも限界で」

 ずっと、心を抑えてきた。詩春はまだ高校生で、茜と葵の面倒を良く見てくれるベビーシッターなのだからと。
 けれど、彼女に助けられて、救われている自分がいた。安らぎを感じて、傍にいることがいつの間にか当たり前になっていた。
 そんな存在を、茜と葵がいなくなったとしても……一人になどしたくなかった。────離したく、なかった。
 一人になる事に不安を感じていた詩春を、抱きしめたあの日から……想いは抑え切れなくなって。

「……好きです。出来るならずっと、傍にいて欲しい」

 改めて告げながら、詩春の手から指輪の箱をそっと抜き取る。

「あ……」
「これは、俺の決意表明みたいなものだから……。ごめん、いきなりで」

 順番間違ってるよな、俺……と、小さく呟いて、苦笑しながら瞼を伏せた。

 そんな政二を見て、詩春はぽっかりと僅かな重みの消えた手のひらを、きゅっ、と握り込み、胸に当てた。

(嬉しい……けど)

 鼓動が早鐘を打っている。全身が熱っているような気さえする。
 鼓動の速さに呼応するように、頭の中も色々な単語がぐるぐると回っている。
 想いを告げられて、嬉しい。それは素直にそう思うのに。
 応えていいのかが、解らない。

 政二は詩春よりも遥かに大人で、きっと周りには綺麗な女の人がたくさんいて。それなのに、何の取り柄もない、平凡でしかない自分が、応えていいのだろうか。

(────でも)

 応えたい。答えたい。そう、思った。
 早鐘を打つ胸も、震える手も落ち着かせようと深く息を吸い。

「……わ、私も……っ」

 声を出すと、逸らされていた政二の視線が詩春を捉えた。彼の瞳の中に映る自分を真っすぐに見つめ、

「好きです……!」

 と、言い放った。

「中村さん……」

 政二の瞳が僅かに見開かれ、その後にゆっくりと細められるのをじっと見つめる。

(あ……)

 ふ、と政二が浮かべた笑顔は、いつも彼が茜と葵に向けているのと同じなようで少し違う。けれど宿る色は、詩春の勘違いでなければ同じもの────慈しみ、愛おしさが込められた、瞳だ。

「……うん」

 伸びてきた腕が、詩春の体を抱き寄せる。抵抗など微塵も浮かばなかった詩春が、抱きしめられていることに気付いたのは、自分と同じくらいの速度で脈打つ音と、耳元で告げられた言葉が聞こえてからだ。

「ありがとう」
「……っ」

 前は泣きながら抱きしめられていたから、恥ずかしさは後から来たけれど、今は泣いているわけではないからはっきり伝わる。
 政二の胸の音も、背中に回された腕の温もりも、髪を撫でる手の大きさも、すべて。
 多分、顔はこれ以上ないくらいに赤いはずだ。気恥ずかしいことに変わりはないけれどそれでも、この腕の中から逃れようとは思わなかった。

「……中村さん」
「……はい」
「俺と、付き合って下さい」
「────はい……っ」

 緊張を含んだ声に、小さくとも確かな答えを返した瞬間、抱きしめる力が強くなって。詩春はその心地良さにそっと瞳を閉じた。

 いつの間にか、詩春が帰る時間が迫っていて、政二は名残惜しくも詩春を抱きしめている腕を離した。

「遅くなっちゃったね。送ってくよ」
「え、大丈夫ですよ?」
「……もう少し、一緒にいたいだけだから」

 ストレートに呟いた言葉に、詩春の頬が朱に染まる。俯く彼女の反応が可愛くて、知らずに笑みが零れたけれど、発せられた言葉に思わず固まってしまった。

「あ、あの……指輪、は」
「あ。いや、これは」

 未だテーブルの上に置いたままの指輪を前に、政二がどう言葉を紡ごうか考えていると。

「……頂いても、いいんでしょうか……?」

 おずおずと、訊ねてくる詩春はそれでも、真っすぐに政二を見ている。政二は、箱から指輪を抜き取り、手を伸ばした。

「……手、貸して?」

 左手か、右手か、迷う詩春に苦笑して、左手を捕まえて。薬指に、指輪を通した。……のだが。
 指輪は関節に引っ掛かることもなく、するん、と嵌まった。否、嵌まったのではなく……。

「あ」
「あ~……」

 微妙にサイズが大きくて、指を下に向ければいつの間にか外れて無くしてしまいそうだった。

「中村さん、指細いよね」
「ご、ごめんなさい……」
「いや、これは俺が悪い」

 先走りすぎた自覚はある。茜と葵と離れてしまう前に、口実なしでプレゼントが出来るホワイトデーにと間に合わせたものだから。
 さてどうするかな、と思考を巡らせた時。

「……鎖に通して、ネックレスにしても、いいですか……?」
「え、でも」

 店に行ってサイズを直してもらった方がいいだろう、と口にした政二に、詩春は緩やかに首を横に振った。

「今の私には、まだ分不相応なんだと思うんです」

 それに、子供達と一緒の時に、指輪は出来ませんから、と、詩春は笑った。

「この指輪が似合うようになったら、その時は……」
「……ありがとう」

 口にはしなかった言葉は、詩春の表情から読み取れた。
 動いた拍子に頬にかかった詩春の髪を、耳の後ろに流すように指で梳いて、距離を縮め。
 触れるか触れないかの、淡いキスをした。

「ま、松永さんっ!?」
「ん?」
「い、今……っ」
「解らなかったなら、もう一回する?」

 口元を手で覆い、耳まで真っ赤になる彼女はもう、いっぱいいっぱいのようで。
 ごまかすように立ち上がり、帰ろうか、と詩春を促したのだった。




 本誌を読んだ後に何か書きたくなって、ずっと半端に下書き保存されていたものです。
 昨日、全然眠れなくて、来月の拍手にしようと思ったら、予想外に長くなってしまったので突発的に更新。
 本誌の先を書くことには抵抗があり、pass付きにしたので、お読みの方々にはお手間をかけさせてしまい、申し訳ありませんでした。

LOVE SO LIFE 目次へ  二次創作Index
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

琳架

Author:琳架

web拍手 by FC2

 ↑ 9/1変更 (全6種)
 桜涙・雨弓・明陽
 図書戦・LOVE SO LIFE・ヨナ
  ※携帯版が確認出来ないので、こちらに統合しました。

Twitter・SS専用アカウント→ @sakuraironoyoru

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

カレンダー

08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最新記事

検索フォーム

月別アーカイブ

西暦をクリックして下さい。

カウンター

FC2ブログランキング

ランキングに参加しています。

FC2Blog Ranking

右サイドメニュー

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。