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12/23 シネラリア 「快活」

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12/23 シネラリア 「快活」
桜涙 竜城+藍里


「竜城ちゃん、早くー!」
「だーっ、待て藍里! お前元気過ぎだ!」

 昨日まで熱を出して苦しそうだったのに、次の日にはけろりと治り、予定していた友達とのボウリングに出掛ける事になった。のは、いいのだが……。

(病み上がりなんだから少しは大人しくしろよなー)

 本当はその熱の原因は、藍里が持つ能力が漏れ出しているからで、そしてけろりと治ってしまうのは、彼女の双子の姉がその能力を鎮めているからなのだけれど、この頃の竜城は知らない。いや、そんなことはきっと、思いもしなかっただろう。

「また熱出しても知らないぞー?」
「だいじょーぶ! すっかり全快!」

 しょっちゅう熱は出すものの、それ以外は健康体な事は知っている。だが、心配なものは心配なのだ。
 先を歩く藍里に追いついて、その腕に手を伸ばして引き止める。小さくて柔らかな手を握り、隣を歩かせる。

「心配だから繋いでる」
「えへへ。竜城ちゃんの手、あったかーい♪」
「こらっ、振り回すな!」

 繋いだ手を子供のように振り回す藍里を叱れば、「はーい」とおどけたような返事が返ってくる。

(ほんっと、昔から元気だよなぁ、藍里は。あいつとは大違い、って)

「何でだよっ」
「え、何?」

 小さく毒づいた言葉に、藍里がきょとんとしながら問い掛けてくる。

「あ、いや……何でもない」
「そう?」

(そうだよ、あいつは関係ない、俺にも、藍里にも近づけさせないって、決めたんだから)

 あいつ────藍里の双子の姉・朱里。そして幼い頃に、人ならざる能力で竜城と藍里を傷つけた。
 快活な藍里とは正反対の化けもの、なのに。
 幼い頃の記憶には、確かに朱里がいて。そして竜城は、その頃を忘れる事が出来ないでいる。
 藍里を守るためには、朱里を敵だと認識するしかないのに。

(藍里は守る。絶対に傷つけさせない)

「竜城ちゃんどしたの? 眉間にシワ出来てるよー?」

 背伸びをして、繋いでいない方の人差し指で眉間をぐりぐりと押され、地味に痛い。

「……藍里、痛い」
「だって竜城ちゃんの顔、怖くなっちゃうもん」
「おーい、そこのバカップル!」

 航平の呼び掛けが聞こえて、竜城は「だから付き合ってないって……」と呟くが、当然その声は聞こえるはずはなく。

「行こっ、竜城ちゃん!」

 快活に笑うその笑顔を、決して絶やす事のないように、傍にいようと思った。


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